【書評】朴澤泰男箸『高等教育機会の地域格差―地方における高校生の大学進学行動』

【書評】朴澤泰男箸 『高等教育機会の地域格差―地方における高校生の大学進学行動』

 IDE現代の高等教育 No.586 模索するIR 2016年12月号より高等教育機会の地域格差

 さて、大学進学率に地域格差があり、大学進学とは地方から大都市圏への県外進学の謂いであることは今に始まったことではないし、ことさら新しい社会現象でもない。しかし、著者が注目するのは、東京と地方の格差ではない。「地方県の間」の違いである。それは、高校生の大学進学行動が3ブロック(表紙の日本列島の色分け)で異なるからである。では、なぜ三つの類型が生まれるのか、本書はそのメカニズムを探り当てる。

 序章「課題と方法」で、問題の所在と人的資本論に依拠する分析枠組みが示される。読者は、90年代以降の大学進学率の地域格差が「鰐の口」のように拡大し、高位・中位・低位県に分節化が新興していること、しかも中3学力と大学進学率には関連が見られない事実に驚くであろう。そこで著者は、学力や費用ではなく、大学進学とりわけ県外進学のもたらす便益に地域間格差を説明する糸口を得る。県単位で分節化された労働市場が、経済的動機に敏感な「限界高校生」を刺激すると見るからである。

 第1章「高等教育機会の地域格差」では、県外・県内進学率の特徴から「中間県」が県外進学、「外縁県」では県内進学の高いことが明らかにされる。第2章「大学進学のコスト」では、家計所得、機会費用、収容力との相関分析から通説とは異なる事実が示される。所得の低い「外縁地方」が仮に大都市圏と同じ所得水準であるとしても大都市圏との進学格差は残ること、機会費用や直接費用が高い「中間圏」で大学進学率が高く、しかもコストのかかる自宅学進学(女子)に意欲的なことである。この非線形な関係から、学力や費用に還元されない地域の独自性が発見される。

 第3章「大学進学の便益」で、大学進学がもたらす便益が県別に計測されている。便法による一般労働者の学歴別・性別平均賃金と生涯年収である。第2章の機会費用と直接費用の推計と併せて、公開データでは得られない独自なデータである。結果として、地方県から大都市圏への進学移動に伴う便益は大きいことが確認される。加えて、三つの賃金格差(学歴間、男女間、東京・地域間)の相関分析から新たな知見が得られている。東京との賃金格差が大きい「地方県」ほど(東京に就職移動するため)大学進学率が低いこと、学歴間賃金格差が小さく、かつ東京との賃金格差が高卒より大卒で大きい「中間県」で大都市圏進学が高くなることである。

 第4章「学卒労働市場の構造」では、便益を左右する大卒・高卒労働需要の実態が描かれる。地方から大都市圏への大卒進学移動の半数は、就業機会よりも入学定員が大きいため地方にUターンしているのである。興味深いのは、70年代に指摘された「代替雇用」が現在でも横断的に確認できること、大卒と高卒が競合関係にある職種は男子が生産工程職、女子が事務職であり、両者の競合関係は大卒が過剰な「中間県」で見られることである。さらに、「高校生調査」を重ね合わせて、学歴間賃金格差の小さい「中間県」の就職希望高校生に積極的な就職理由を読み解く作業は、本書の白眉である。

 第5章「女子にとっての大学進学の便益」では、生涯就労規範の弱い女性の便益を取り上げて結婚と就業・非就業の関連が検討されている。育児期の30代女性の学歴別・地域別非労働力率から学歴間賃金格差の小さい「中間県」では、他のブロックより高卒も大卒非労働力化しやすい。この結果は、「高校生調査」によって「中間県」に存在する女子高生の「結婚後の就業継続志向」が強いことからも裏付けられている。

 第6章「大学進学率の地域格差の実証分析」で、以上の検討が集約される。個人属性を一定としてもなお、地方県の大学(県外)進学行動は大卒相対従業者数と正規就業機会(女子)の影響を受けることである。自ら選択できない出身県の労働需要が、「進学機会の格差・不平等」を生み出す重要な指標となるのである。

 終章「結論と含意」では、地域類型によって異なる進学行動を踏まえて、新たな政策提言がなされる。大都市圏での大学新増設規制の緩和、現行の厳格な学部別定員管理の再考、そして出身地指定の入学枠の設定などである。

 180もの図表からなる浩瀚な本書は文字通り力業であるが、記述は論理的であり、データで語る禁欲的なスタンスで貫かれている。期待効用の視点から地方からの進学行動を解き明かし、進学機会がその先にあるマクロな労働需要に埋め込まれていることを実証した本書を関連分野の研究者のみならず、広く高校生の進学移動に関心を持つ読者に勧めたい。

(広島大学高等教育研究開発センター教授/教育社会学)

高等教育機会の地域格差

【東信堂 本体価格5,600円】


【書評】朴澤泰男 著『高等教育機会の地域格差』

教育学研究第84巻 第2号 p.102より

本書は、高等教育機会の地域格差に焦点をあて、先行研究で言及されている「中心—周辺型の三重構想」と表現する「大都市圏」(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、岐阜、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山の13都府県)、「外縁地方」(北海道・東北、九州・沖縄の15道県)、大都市圏に隣接する「中間地方」(その他の19県)の三分類でなぜ進学地域格差が生じるのか、そのメカニズムに焦点をあてた研究である。筆者が着目するのは大学進学の費用便益であり、その高低が高等教育機会の進学地域格差の遠因にあると筆者は考えている。この三分類は、大都市圏が地域間相対賃金(東京の賃金をある県の賃金で除した比率)よりも学歴間相対賃金(大卒者の高卒者に対する相対賃金)の方が大きく、中間地方が地域間相対賃金と学歴間相対賃金の差が小さく、一方、大卒者の地域間相対賃金が、高卒者の地域間相対賃金より大きく、外縁地方が、大卒者の地域間相対賃金、高卒者の地域間相対賃金、学歴間相対賃金の3者がほぼ等しく(p.166)、この枠組みの妥当性・頑健性が主張されている。また、筆者は、『学校基本調査』や『賃金構造基本統計調査』のマクロデータだけで論じるのではなく、詳細に論じるべきところでは、東京大学大学院教育研究科大学経営・政策研究センターが科研費(研究代表者:金子元久)よって、平成17年から21年まで実施した、日本全国から無作為抽出で選ばれた4,000人の高校3年生を対象に行われた「高校生の進路についての調査」のデータを組み合わせるところも、先行研究を乗り越える戦略として、本論では重要な位置を占めている。

第1章では、高等教育機会の地域格差の概要を文字通り「描画する」ことに焦点が当てられている。マクロデータの力強さが遺憾なく発揮されており、地域格差が男子より女子の方が大きいこと(p.65)や父親世代所得は県間平均よりも高い県があったり、所得は県間平均よりも低いが進学率は県間平均を下回る県があったり(p.70)、男女とも県外進学率が県内進学率を上回っている県があったり(p.72)、マクロデータを用いて図表で全体を概観して初めてわかることが多いことに気づかされる。中でも興味深かったのは、「大学進学率全体が高い県ほど県外進学率が高い傾向にあるものの、一定の水準を超えると、県外進学率は再び低くなっていくという逆U字型の関係が見て取れる」(p.73)というものである。ただ一点、高校生調査のデータを用いて、「地方在住男子のうち、・・・中略・・・自宅外からの通学希望は県外大学志望者(399人)の89.0%に達するのに対し、県内志望者(261人)の場合は19.2%にとどまる」(p.90)とあったが、この結果には違和感があった。というのも、地方ほど、大学は国公私立を含めて県庁所在地に集中しており、県庁所在地やその隣接行政区に住んでいない人間以外は同県内でも自宅通学することは困難で、概ね、同県出身者でも自宅外通学になる、というのが現状に近いと経験上感じるからだ。高校生調査の母集団が、無作為抽出であればその性質上避けられないのかもしれないが、県庁所在地在住者が多いのかもしれないという印象を拭えなかった。

第2章では、大学進学の費用の面から考察している。これまで高等教育機会の地域格差で語られることの多かった、家計所得、機会費用、(高卒で就職した場合の4年間の放棄稼得)、直接費用、大学の収容率では、高等教育機会の地域格差を十分に説明できないことを明らかにしている。特に機会費用の高い県ほど、大学進学率全体や、県外進学率は高いという予想とは逆の結果が生じていることが分かる(p.134)。

第3章では、県別に大学進学の費用便益を論じている。結論としては、「大都市圏や中間地方よりも、外縁地方の方が大学進学から得られる便益は大きい」(p.154)と述べられており、「男女とも、学歴間賃金格差の小さな県(「中間地方」に多い)ほど県外進学率や、(県外進学率が大きく左右する)大学進学率全体が高」(p.180)く、出身県の相対賃金が小さいものほど、大学進学や県外進学に動機づけられる、と費用便益によって高等教育機会の地域格差を論じることの必然性を主張している。確かに、筆者も地方大学における入試広報の中で経験したことであるが、自元の全国に名が轟く有名大企業に「高卒」で就職できるのであれば、「大卒」後にその企業への就職が約束されていないとすれば、私が所属していた大学には進学しない、と面と向かって言われたことがある。現実に、高卒での就職先と比較した大学の収益率を比較して判断されているという場面であり、本書の仮説を裏付ける事例とも言える。

第4章では、新規学卒労働者市場の地域格差について検討している。まず、「大学の入学者定員が大卒者の就業機会以上に大都市圏に偏在している」(p.216)ため、「地方出身の大卒者のうち、かなりの割合がUターン就職せざるを得ない状況におかれる」(p.214)ことをマクロデータから実証している。ただ、事情は地域ごとに異なり、「中間地方」では、県内進学の場合、学歴間賃金格差が低いため、大都市圏での就職に動機づけられる、と主張する。また、出身県にUターン就職する場合でも、高卒者と地元で職を奪い合うために、大卒であることが有利であるという判断も生じると主張する。一方、「外縁地方」では、「高卒後すぐに就職した方が、よい会社(官公庁)に入れると思うから」という質問に肯定的に回答するもの(21.4%)が、「中間地方」(31.4%)に比べて10ポイント少ないなど、製造業や企業規模の大きな会社へ就職する機会に恵まれていない。こうした新規労働市場の地域格差も高等教育機会の地域格差の背景にある、と筆者は主張する。

第5章では、女子における大学進学の費用便益について論じている。ここでも地域の3区分に基づいて論じられており、「高卒、短大卒、大卒のいずれも、中間地方で未婚率が最も低い」(p.267)や「『大卒女性ほど(高卒女性に対して)、大卒の夫がいる可能性が大きい程度』は大都市圏で小さく、外縁地方と中間地方で同じくらい大きいことがわかる。逆に言えば、大都市圏では高卒女子も大卒の夫を得やすいということである」(p.271)など、マクロデータを駆使した所見を提供している。興味深いのは、地域ごとに女子生徒の就業意識が大きく異なり、それが進学率の地域格差につながっているという主張である。具体的には、「外縁地方」や「大都市圏」の女子の方が、「中間地方」の女子より、就業継続を志向しない、とデータが示しており、地域ごとに就業のしやすさがが異なる地域があることを示唆している。

第6章では、本書のクライマックスとして、大学進学率の地域格差の実証分析を行っている。大学進学率(希望)や県外・県内進学率(希望)を被説明変数に、先行研究や全勝までの検討を踏まえて、家計所得、父親学歴、学力、主観的便益、収容率、相対就業者数、女子の世紀就業機会を説明変数にして、ロジスティック回帰分析を男女別、地方・全県別に行っている。その結果、相対就業者数や主観的便益の要因によって、大学進学の地方格差が説明できること、特に、女子には、「将来の就業可能性の小さい県ほど、県外就学率および大学進学率が低い」(p.312)ことがわかり、地方に進学率が低い県が存在することの論拠としている。

以上が本書の概要であるが、最後に今後の期待の意味も込め、本書への若干のコメントを述べてみたい。第一に、過去10年近く地方で入試広報業務に携わってきた筆者の素朴な実感であるが、一般的には高校生は大学進学の費用便益や将来の収益率をあまり意識していないのではないか。より直接的には家計所得や、自分の学びたい学問分野の学部が通える範囲内にある稼働といった、地理的要因が最も大きく影響するのではないだろうか。その意味で、例えば、牟田博光『大学の地域配置と遠隔教育』(1995年、多賀出版)のように、大学進学行動を大学所在地の地理的要因も考慮に入れた考察が重要であると思われるが、先行研究では言及されていなかった。第二に、高校生の大学進学行動は、学問分野別に大きく異なると思われる。ほとんどの都道府県にある教育学系、工学系、医学・保健学科は別にして、限られた都道府県にしかない,農・水産学部、薬学・歯学系の進学行動は地方では特殊であり、また県によっては国立大学に文系学部の選択肢がほとんどない県もある。こうした学問分野別の進学行動はより複雑に解釈されるべきに感じた。第三に、地方の三分類に対する妥当性である。若干大枠の分類であり、例えば、四国などは、中国・京阪神圏に移動しやすい、徳島・香川と、愛媛・高知では状況が違いすぎると単純に想像するからである。いくつか疑問を呈したが、これらの課題は、もしかしたら、マクロデータや高校生調査のデータに依存する限界なのかもしれない。ただ、筆者の論は精緻で非常にロジカルであり、その説得力や学術的根拠に疑いはない。次なる研究では、さらなる詳細な分析を期待してやまない。

木村拓也(九州大学)

高等教育機会の地域格差

【東信堂 本体価格5,600円】


【書評】朴澤泰男箸『高等教育機会の地域格差:地方における高校生の大学進学行動』

教育社会学研究  第100集 p.381より

高等教育機会の地域格差

本書は、「地方になぜ、大学進学率の低い県があるのか」という問いに対し、1990年代以降の大学進学行動を対象として、都道府県別のマクロデータおよび高校生を対象としたミクロデータ(高校生調査)を用いて答えることを目的としている。大学進学の機会に地域格差が存在することは公平性、効率性の両面において望ましいことではない点で、大学進学機会の地域格差の問題に取り組む意義が依然として十分にあるといえよう。

本書は序章、終章を合わせて8章構成である。序章では研究上の問いが示され、先行研究の知見が丁寧に検討されている。先行研究の検討を通じ、同じ地方同士の差異を体系的に説明する必要があること、大学進学率の中心を占める県外進学についての検討を深める必要があること、大学進学の便益を明示的に取り込んだ分析が求められることが、説得的に論じられている。以上の点を踏まえ、筆者は人的資本論の枠組みから、高卒に対する大卒就業者数(相対就業者数)に着目する。労働供給との識別可能性について留保をつけつつも、これを労働需要の指標とみなし、大卒労働力需要の大きさが大学進学の便益の大きさにつながるという明快な仮説のもとで、その後の分析が勧められてゆく。

第1章では大学進学率の趨勢と構造にかんするマクロデータの丁寧な検証が積み重ねられている。1990年代以降に進学率の地域格差が拡大し、大学進学率を県内、県外進学で分割すると、後者の寄与が大きい。基礎分析によるこれらの指摘は研究設計の妥当性を示しているとともに、専門外の読者には新鮮な事実であるようにも思われる。

第2章以降、着目する説明要因と大学進学率の関係が検証される。第2章では、本書の対抗仮説の1つである進学費用と大学進学率の関連が検討されている。費用の大きさが制約となって進学を抑制するという予想に反し、機会費用(19~22歳の高卒労働者の賃金)大きい県ほど全体の進学率、県外進学率が高く、直接費用は進学率と関連しないという結果が示される。また、大都市圏と低進学地域の平均所得が同等である仮想状況下で神学率を比較した場合にも、その差が縮小しないという。以上の知見は、費用に加えて便益を分析に含めるべきという筆者の立場を支持するとともに、機会費用が大きいほど進学率が高いという新たな謎を提示している。

その謎が解き明かされるのが第3章、4章である。機会費用の大きさはすなわち高卒に対する大卒の相対賃金の低さを意味し、そのような地域出身の者は、(進学するならば)より便益の大きい県外(特に大都市圏)への進学を志向する。仮に出身地域に戻って就職する場合でも、大卒の雇用が有利であれば高卒で就職するよりは幾分便益が大きい(ため、やはり進学する)。以上のメカニズムが、データ分析により検証されてゆく。第3章では、大卒相対賃金と進学率の負の相関関係が示される。また、地域間の相対賃金は東京の賃金を各都道府県のそれで除したものとして定義され、上記のメカニズム通りであれば地域間相対賃金と県外大学進学率は正の相関関係を示すはずだが、そのようにはなっていない。地域により進学先の大都市が異なることは第2章の表2-8からも想像できるため、分子を東京の賃金で固定すべきかについては検討の余地があるだろう。一方、大卒相対賃金の低い地域では大卒相対就業者数の多いことが第4章で明らかにされているほか、その条件に該当する「中間地方」からは大都市への進学、就職が比較的生じやすいことも指摘されている。以上の知見を組み合わせつつ上記のメカニズムを慎重に論証してゆく過程から、筆者の深い洞察が感じられる。

第5章は女子にとっての大学進学の便益について分析がなされ、本書の中心課題からはやや外れる。しかし、女子の大学進学の便益について地域の差異が特にみられなかったこと、女性の就業についても「中間地方」で有利であることの指摘があるため、地方の全体傾向をとらえる第6章、および終章の論述でも説得力が増しているといえる。

第6章では2006年度の47都道府県データのOLS推定を通じて相対就業者数、収容力の影響が検討され、地方では大卒労働力需要のほうが進学率を高める要因としてより重要であることが明らかとなる。また、女性については正規就業機会が独自の正の効果を持つことが指摘されるほか、「高校生調査」を用いた大学進学希望の分析でも同様の結果が得られている。以上の実証分析の知見にもとづき、終章でまとめと示唆が議論されている。

全体を通した、マクロデータの丁寧な基礎分析の積み重ねという姿勢は大いに範とすべきである。また、実証分析では十分に検討できない部分を他の先行研究の知見などから補っている点も、議論を説得的なものにしている。本書が、1990年代以降の大学進学率の地域格差にかんする基盤的な先行研究となることは、おそらく論を待たないであろう。

その上で、今後の研究の展開への期待も込めた「ないものねだり」を記してむすびとしたい。筆者は人的資本論に依拠しつつ進学の便益に着目し、収容力仮説や進学費用仮説を一応の仮想敵としている。しかし、より重要な相手は経済地理学的仮説とでも表現すべきものではないだろうか。本書では適宜「中央県」を除いた「地方県」のみの分析もなされているが、そのなかには産業の集積地たる大都市に地理的に近い地域も含まれている。そのような地域は大都市圏のなかで、高卒労働市場にも良質な雇用が行き渡り(機会費用の高さ)、女性を含む大卒正規雇用の需要が大きく(相対就業者数の多さ)、大学進学にさいしての中心的大都市への地理的移動も容易である(県外進学の容易さ)、などの諸条件を同時に備えている可能性がある。直接の問題関心ではない点であるかもしれないが、他分野への波及可能性の大きい本書の研究のさらなる前進が楽しみである。

(東京大学社会科学研究所 石田賢示 評)

高等教育機会の地域格差

【東信堂 本体価格5,600円】

お知らせ

旧サイトはこちら

ページ上部へ戻る