河村錠一郎著『イギリスの美、日本の美-ラファエル前派と漱石、ビアズリーと北斎-』
(2021年、A5判、上製、2600円+税)
『北国新聞』2021年6月26日号 「どくしょ」、『下野新聞』2021年6月27日号 「読書」より
夏目漱石「草枕」の主人公の画家はミレイの水に浮かぶ「オフィーリア」を描いた絵を「なんであんな不愉快なところ」を選んだものかと不審がっている。まるで彼女が自殺であるかのように。しかし、シェークスピア「ハムレット」のヒロインは自殺ではなく事故死。漱石は誤解したのか。
長らく論争を呼んできたテーマをめぐって、著者は、漱石が留学したころのロンドンの美術展示の状況を調べていく-。ラファエル前派を中心に、白樺派など日本と英国美術の関わりを考察した論考集。