「郷土」という政治
自らの住む地を「郷土」と認識することは、当然のようでいて案外複雑な過程を要する。本書は、台湾というアイデンティティの模索の歴史を、日本植民地期の1930年代から、「中華民国化」を経て「台湾化」が進む現在に至るまで、「郷土」がいかように教育されてきたのかという視点から論じた力作である。読者には、「我が国と郷土を愛する」(教育基本法)という文言のもつ政治性に敏感になられんことを(安田敏朗(一橋大学))。
タイトル | 「郷土」としての台湾 |
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サブタイトル | 郷土教育の展開にみるアイデンティティの変容 |
刊行日 | 2009年02月15日 |
著者 | 林初梅 著 |
定価 | 4600+税) |
ISBN | 978-4-88713-887-2 |
Cコード | 3037 |
ページ数 | 384 |
判型 | A5 |
製本 | 上製 |
序章 問題意識・研究の視角
第Ⅰ部 記憶の中の郷土教育
第一章 日本統治時代台湾の郷土教育の再考
第二章 中(華民)国化教育時期における郷土教育の諸相
第Ⅱ部 今日の郷土教育形成の場
第三章 知識人による台湾本土化理論の模索(一九七〇年代―一九九〇代年初期)
第四章 郷土教育教科設置への胎動(一九八九年―一九九四年)
第Ⅲ部 郷土科時代の展開(一九九四年―二○○○年)
第五章 郷土教育の教科設置と教材編纂の興り
第六章 郷土言語教育推進の困難性
第Ⅳ部 九年一貫課程による郷土教育の新しい展開(二〇〇一年以降)
第七章 郷土言語教育の必修化と地域の実施例
第八章 九年一貫新課程における社会科歴史教育の登場
終章 台湾郷土教育思潮の特徴とその意味すること
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