『現代アメリカ貧困地域の市民性教育改革―教室・学校・地域の連関の創造―』
(A5判、312頁、4200+税)
現代アメリカの市民性教育改革の構造と性質を明らかにする
全私学新聞 令和3年7月3日 第2549(4)読書―新刊を紹介しますより
著者は「市民性教育研究のあり方として、子どもの育ちやそれを取り巻く環境の現実を真ん中に置き、それを様々な領域の知見に学びながら多角的に分析し、求められる教育実践や改革のありようを総合的に考察していく研究」を試みている。
「民主主義社会を主体的に形成する市民を育む『市民性教育』(citizenship education)は先進国諸国の公教育の重要課題となっている」とした上で、現代アメリカの貧困地域で推進される市民性教育改革の構造と特質を明らかにしている。
「序章 研究の背景・目的・方法」に続いて、「第1章 教室・学校・地域における市民性教育の理論的基盤」 「第2章 貧困地域における子どもの経験の連関構造と市民性への影響」 「第3章 現代アメリカの教育改革による貧困地域の市民性教育の周縁化」 「第4章〈社会科アプローチ〉の市民性教育改革」 「第5章〈学校全体アプローチ〉の市民性教育改革」 「第6章 〈地域コミュニティアプローチ〉の市民性教育改革」 「第7章 アメリカ貧困地域の市民性教育改革の構造と特質」 「終章 研究の総括と成果・課題」 「補章 大都市学区での市民性教育改革の新展開―イリノイ州シカゴ地区」――からなる。
本書の内容は著者が2019年1月に筑波大学大学院人間総合科学研究科に提出した博士論文『現代アメリカの貧困地域における市民性教育改革の研究―教室・学校・地域の連関構造の重要性に注目して―』を基に、イリノイ州シカゴ学区の事例研究をはじめ、その後の研究成果を加え、大幅に加筆修正を施したもの。
著者は古田雄一・大阪国際大学短期大学部准教授。