脅かされる高等教育行政の中立性と専門性―その再構築に向けて!
2010年代の第二次安倍政権以降、高等教育をめぐる政策形成・決定過程における文科省の役割が低下し、内閣(官邸)の影響力が高まっている。特に政治的中立性が求められる教育界で生じている「政」による「官」への侵食は、時流によるものなのか、それとも戦後教育行政の「終わりの始まり」なのか―。本書は、政府・大学関係者らへのインタビュー調査、海外事例との比較分析、国公私大ごとの影響の差異といった多角的視座からこうした構造的転換の実像を捉え、新たな時代の高等教育政策・行政の再構築を志向した一冊!
![](https://www.toshindo-pub.com/wp-content/uploads/2025/01/9784798919379-scaled.jpg)
タイトル | 官邸主導時代の高等教育政策 |
---|---|
サブタイトル | 変貌の諸相と課題 |
刊行日 | 2025年03月05日 |
著者 | 日本高等教育学会会長プロジェクトチーム・羽田貴史編著 |
定価 | ¥3960(本体¥3600+税) |
ISBN | 978-4-7989-1937-9 |
Cコード | 3037 |
ページ数 | 352 |
判型 | A5 |
製本 | 並製 |
はじめに(羽田貴史)
序章 高等教育政策決定過程の変容を探究する―研究の課題(羽田貴史)
第1部 政策決定過程の変容と特質
第1章 2010年代における高等教育政策決定過程の変容(羽田貴史)
第2章 高等教育政策にかかわる会議体とアクター(丸山和昭)
第3章 「高等教育の修学支援新制度」の形成過程―政治と官邸主導による新制度創設(白川優治)
第4章 高大接続改革への疑義(荒井克弘)
第5章 アメリカの高等教育政策決定過程と大統領府―教育省を支える「回転ドア」と民間団体(塙武郎)
第6章 フランスの高等教育政策決定過程(大場淳)
第7章 イギリスの高等教育政策決定過程と首相官邸―証拠に基づく政策形成(EBPM)の仕組み(田中正弘)
第2部 官邸主導時代の高等教育政策の諸相
第1章 国立大学法人の実績評価と資源配分―「成果を中心とする実績状況に基づく配分」の事例(辻優太郎)
第2章 「首長主導」の下での公立大学政策の可能性(中田晃)
第3章 学校法人におけるガバナンス改革―混迷の背景(両角亜希子)
第4章 私立大学への私学助成政策の変化と影響(齋藤渉)
第5章 研究力低下と大学ファンド―政策過程と制度設計の分析(田中秀明)
第3部 高等教育行政の専門性―「官邸主導の政策形成の時代」における現状と課題
第1章 高等教育行政の専門性とは何か―「官邸主導の政策形成の時代」における現状と課題(羽田貴史)
第2章 文部科学官僚の資質能力と官邸主導の影響(磯田文雄)
第3章 文部科学省キャリア官僚の昇進構造及びノンキャリア職員とのスキルミックスの変容(林透)
第4章 高等教育行政の専門性の再構築へ向けて(小山竜司)
あとがき(羽田貴史)
索引/著者紹介