精細に読み解かれるスピノザ哲学の根幹スピノザの主著『エチカ』は万人の普遍的理解を求め、数学的明晰をめざしたいわゆる幾何学的形式で書かれている。だがその一般的概念を堅牢に積み重ねた形式的叙述は、事象の具体的な個別性の展開を阻んではいないか? スピノザの究極の意図が、われわれにおける最高の幸福の獲得という、明確に「個」を志向したものである以上、この疑問は放置できない──叙述の中に隠れた個別性をめぐって精細に読み解かれる、スピノザ哲学の中核的課題。
タイトル | 概念と個別性 |
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サブタイトル | スピノザ哲学研究 |
刊行日 | 2012年3月1日 |
著者 | 朝倉友海 |
定価 | 4640+税) |
ISBN | 978-4-7989-0110-7 |
Cコード | 3010 |
ページ数 | 320 |
判型 | A5 |
製本 | 上製 |
序論 個別性の問題
第一章 観念と概念──スピノザによる形而上学批判の射程 思念・観念・概念
一 「観念」説の深化
二 形而上学的思想の検討
三 「概念」説へ向けて 問題の暫定的整理──『エチカ』解読への準備
第二章 「身体の観念」とは何か──『エチカ』の存在論的結構 「人間の理論」の構築
一 人間精神の本性
二 諸属性から実体へ
三 実体の様態と個別性 126 問題の新たな展開──人間の考察へ向けて
第三章 人間の幾何学──関係性の一般理論のなかで
一 機械論と力動論
二 諸事物の力動論
三 理性的な情動 問題の最終的整理──人間の理論から自己の省察へ
第四章 至上の喜びのありか──『エチカ』の到達点の解明 スピノザが目指すもの
一 直観知をめぐって
二 身体と理性
三 自己への気付き
総括:スピノザの「哲学」
結論 概念と個別性
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