原爆から原発まで—不可視化される放射能「被害」のメカニズム
放射能汚染による被害は、その不可視性や晩発性、科学的知見が未確立であることなどによって、これまで過小評価されてきた。また、原爆と原発など事例ごとに経験が分断されやすく、共通の教訓を導き出すのが難しくなっている。本書は、広島・長崎での原爆投下をはじめJCO臨界事故や福島第一原発事故など、国内各地で起こった放射能汚染、原子力事故に関する詳細な分析を通して、被害の実態と、被害が過小評価されてきた構造的要因を明らかにする。過去から学び、同じ轍を踏まないための、まさに時宜を得た研究である。
タイトル | 放射能汚染はなぜくりかえされるのか |
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サブタイトル | 地域の経験をつなぐ |
刊行日 | 2018年4月1日 |
著者 | 藤川賢・除本理史 編著 |
定価 | ¥2200(本体¥2000+税) |
ISBN | 978-4-7989-1494-7 |
Cコード | C3036 |
ページ数 | 224 |
判型 | A5 |
製本 | 並製 |
はしがき
序 章 くりかえされる放射能汚染問題
—いかに経験をつないでいくか—(藤川賢)
第1章 「唯一の被爆国」で続く被害の分析
—戦争・原爆から原発へ—(尾崎寛直)
第2章 スティグマ経験と「差別の正当化」への対応
—長崎・浦上のキリスト教者の場合—(堀畑まなみ)
第3章 人形峠ウラン汚染事件裁判の教訓と福島原発事故汚染問題(片岡直樹)
第4章 鳥取の新しい環境運動をたどる
—青谷・気高原発立地阻止とウラン残土放置事件から3・11後へ—(土井妙子)
第5章 茨城県東海村におけるJCO臨界事故と東日本大震災(藤川賢)
第6章 「低認知被災地」における問題構築の困難
—茨城県を事例に—(原口弥生)—
第7章 福島原発事故における被害者の分断
—賠償と復興政策の問題点—(除本理史)
終 章 市民が抱く不安の合理性
—原発「自主避難」に関する司法判断をめぐって—(除本理史)
読書案内/あとがき/索引
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