世界を舞台に活躍を志すすべての女性たちに向けて―。
出産や育児などによるキャリアの中断も頭をよぎる中、女性たちはいかに国際機関への就職を目指し、どのような準備を行ってきたのか。また就職後も、国を越えた異動・転職をどのように経験したのか、いかなるワークライフバランスで働いているのか。その実情は実に多様で、より多くのケースを俯瞰することが最も参考になるだろう。本書は、ユネスコ、OECD、GPE、世銀、ユニセフの職員として教育開発の分野で世界を舞台に活躍する女性11名が辿ったさまざまな実体験と、次なる未来を担う若者たちに向けたメッセージを収録した一冊!
タイトル | 世界で花開く日本の女性たち |
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サブタイトル | 国際機関で教育開発に携わるキャリア形成 |
刊行日 | 2024年12月20日 |
著者 | 小川 啓一・水野谷 優 編著 |
定価 | ¥2530(本体¥2300+税) |
ISBN | 9784798919447 |
Cコード | 1036 |
ページ数 | 264 |
判型 | 四六 |
製本 | 並製 |
小川 啓一(オガワ ケイイチ)(編著)
担当章:序章
神戸大学大学院国際協力研究科教授・専攻長。
専門は教育経済学、教育財政学。
コロンビア大学人文科学系大学院にて比較国際教育学・教育経済学でPh.D. を取得。世界銀行本部教育エコノミスト、神戸大学大学院国際協力研究科助教授、准教授を経て、2007 年10 月から現職。その間、ユネスコ国際教育計画研究所(IIEP) 理事、キルギス国立大学名誉教授、ダッカ大学名誉教授、ラオス国立大学名誉教授、コロンビア大学ティーチャーズカレッジ客員教授/非常勤教授、東京大学大学院総合文化研究科客員教授、ハワイ大学教育系大学院協力教授、ジョージワシントン大学教育人間開発系大学院協力教授、復旦大学グローバル公共政策研究院協力教授、国際協力銀行シニア・アドバイザー、国際協力機構アドバイザー等を歴任。ユネスコ、ユニセフ、アジア開発銀行、米州開発銀行などでも豊富な経験を有する。国際開発研究の分野で150件以上の学術論文・書籍等を出版。
水野谷 優(ミズノヤ スグル)(編著)
担当章:最終章
ユネスコ・国際教育計画研究所技術協力部部長。
コロンビア大学人文科学系大学院にて教育経済学でPh.D. を取得、青年海外協力隊(バヌアツ)、世界銀行コンサルタント、ユニセフケニア国教育チーフ、香港中文大学グローバルスタディプログラム副ダイレクター・助教授、ユニセフ本部教育データ上級アドバイザーを経て、2023 年4 月から現職。ケニア、シリア、パキスタン、タイ、ラオスなど、さまざまな国々で、開発と緊急支援の両局面における国際教育協力と政策立案に25 年以上携わり、現職では、教育状況分析(ESA)や教育セクター計画(ESP)実施支援、国および地方レベルでの教育関係者の能力向上、教育分野における公的資金管理の改善、セクターモニタリング、地理空間データを含むビッグデータの活用など、教育計画および管理に関する技術協力を提供するチームを統括している。これまでに執筆・出版した国連報告書、政策概要、ファクトシート、学術誌は100 件以上にのぼる。
岩崎(吉川)響子(イワサキ ヨシカワ キョウコ)(著)
担当章:第6章
教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)モニタリング評価専門官。
ロータリー財団国際親善奨学生として英国イーストアングリア大学に留学、教育と開発の修士号を取得。その後、外務省国際協力局で「日本の教育協力政策2011‐2015」の策定、他ドナーとの援助協調、G8/G20 サミットプロセスにおける開発関連のワーキンググループなどの業務を担当。2012 年、株式会社パデコ入社。アフリカにおける教育分野の技術協力プロジェクトにて、プロジェクトマネジメントやモニタリング評価の仕事に従事。2017 年に渡米後、
ワシントンDC のGPE 事務局において主にグラントのモニタリング評価に携わる。2024 年6 月より現職。日本評価学会認定評価士。
上野 明菜(ウエノ アキナ)(著)
担当章:第8章
ユニセフ・大洋州事務所教育専門官。
英国サセックス大学にて開発と教育の修士号を取得。日本で高校教師としてキャリアをスタートし、日本大使館にて草の根委職員、
世界銀行コンサルタント、東京工業大学研究員、筑波大学で勤務後、JPO 派遣制度でユニセフラオス事務所教育担当官を経て2024 年6月から現職。タイ、カンボジア、ラオスなど東南アジアを中心に、途上国における全国学力調査、教員訓練など教授と学習の質の向上支援、防災と教育の分野等に携わる。現在は大洋州14 か国における教育セクター計画(ESP)実施支援や気候変動と教育の分野を担当する。
岡本 紗貴(オカモト サキ)(著)
担当章:第9章
ユニセフ・マダガスカル事務所教育専門官。
神戸大学大学院国際協力研究科にて修士号(国際学)を取得。4 年間マーケティングリサーチの会社にてリサーチャーとして勤務後、青年海外協力隊として西アフリカのベナンに派遣。コロナパンデミックの影響により、任期半年残し日本に緊急退避となる。協力隊後は開発コンサルティング企業パデコ、国際基督教大学にてリサーチアシスタントとして勤務、企画調査員(教育・援助調整)としてJICA ガーナ事務所勤務後、2023 年11 月から現職。現職では、教育の質ユニットにて習熟度別カリキュラムに特化したTaRL プロジェクト、JICA・UNICEF 連携の住民参加型教育プロジェクトのコーディネーションやリソースモビリゼーションを担当している。
小原ベルファリゆり(オハラベルファリユリ)(著)
担当章:第3章
経済協力開発機構(OECD)就学前・学校教育課長。
スタンフォード大学教育大学院にて国際教育行政の修士を取得。フィリピンのNGO や、青年海外協力隊(セネガル)で青少年育成、開発コンサルティング会社アイシーネットを経て、アソシエートエキスパート制度でユニセフ派遣。また世界銀行の人間開発専門員、ユニセフのモロッコ国教育チーフとして、教育セクター計画、実施支援、ドナー調整や、ジェンダーのプロジェクトマネジメントに携わる。2014 年から現職で、生徒の学習到達度調査PISA などの80 か国以上を網羅する国際教育調査や、就学前教育と学校教育全般の政策立案、実施の支援を統括する。国際科学評議会の科学教育部会やフランス教育訓練高等機関の学術評議員などの委員を歴任。
加藤 静香(カトウ シズカ)(著)
担当章:第4章
経済協力開発機構(OECD)教育政策アナリスト。
オックスフォード大学教育学修士課程修了。新卒として株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)に入社し、営業、マーケティング職を経験。早稲田大学にて国際交流の推進を担当した後、2018 年より現職。高等教育、成人教育を専門とし、現在は、マイクロクレデンシャル、および、人工知能(AI)の進化が大学教育に及ぼす影響を考察するプロジェクトの責任者。過去には、大学教育と労働市場の結びつき、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関するプロジェクトに従事。日本語著書:『高等教育マイクロクレデンシャル-履修証明の新たな次元』(2022 年)。
國松 茉梨絵(クニマツ マリエ)(著)
担当章:第7章
ユニセフ・スーダン事務所教育マネージャー。
神戸大学大学院国際協力研究科で経済学の修士号と復旦大学国際関係・公共事務学院で公共政策の修士号を取得。世界銀行南アジア局教育コンサルタント、帝京大学国際学部助手・助教を経て、国連ボランティア(UNV) として、ユニセフ・エジプト事務所に勤務し、難民や移民の子どもたちへの教育支援を担当。その後、国連のジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)に合格し、ユニセフ・スーダン事務所に教育担当官として勤務し、主に緊急時の教育支援を担当。2024 年4 月から現職。現在は、紛争下での教育支援プログラムの形成、実施に従事している。
澤本 亜紀子(タキモト アキコ)(著)
担当章:第11章
世界銀行・教育部門アフリカ局教育専門官。
コロンビア大学人文科学系大学院にて教育人類学でPh.D. を取得。世界銀行独立評価局、ガバナンス及び教育グローバルプラクティスのコンサルタントを経て、2017 年8 月から現職。2024 年8 月からナイジェリア事務所に駐在。これまで東アジア・太平洋地域及び西部・中央アフリカ地域における教育セクター案件・分析業務を担当。基礎教育の拡充並びに基礎学力の向上、非就学児童の教育機会の拡大、青少年の能力開発支援並びに教員をはじめとする教育関係者の能力向上に係る案件管理をタスクチームリーダーとして主導するほか、担当国における教育システムの改善・強化を目的とする政策面での助言を提供している。
荘所 真理(ジョウジョ マリ)(著)
担当章:第10章
世界銀行・教育部門アフリカ局上級教育専門官。
神戸大学国際協力研究科にて修士号(経済学)取得後、公立中学校教諭として勤務。その後開発コンサルタントとしてプロジェクト及び調査案件に従事。マラウイ大学教育研究訓練センター客員研究員を経て、神戸大学国際協力研究科にて博士号(学術)を国際教育開発の分野で取得し、世界銀行本部に入行。世界銀行では、人間開発局、南アジア地域局、アフリカ地域局で教育政策立案の支援、教育プロジェクト形成・実施の支援、研究等に従事。アフリカ局では、シエラレオネ、サントメ・プリンシペ、タンザニア、スーダンを担当。これまで世界銀行及び個人で教育開発に関する多数の研究文書、報告書、政策文書、論文を出版。
林川(勝野)眞紀(ハヤシガワ カツノ マキ)(著)
担当章:第1章
ユネスコ・ジャカルタ地域事務所所長。
ロンドン大学教育研究所で教育計画の修士号を、南オーストラリア大学で幼児教育の修士号を取得。教育専門家として30 年にわたるユネスコ、ユニセフ、JICA での勤務を経て、2023 年7 月より現職、東南アジア5 カ国を管轄する地域事務所としてインドネシア、ブルネイ、マレーシア、フィリピン、東ティモールにおけるユネスコ代表を兼任している。現職に就く前は、ユネスコ本部教育局Education 2030 部の部長として、ジェンダーとインクルーシブ教育、高等教育、緊急時の教育に関するユネスコ事業を監督し、SDG4 の世界的調整メカニズムを主導。2022 年には同年9 月に開催された国連事務総長主催の「変革する教育サミット」の事務局長を務めた。これまで、北京とバンコクを拠点に、多岐にわたる分野でアジア太平洋地域の地域・国別プログラムを統括してきた。
松吉 由希子(マツヨシ ユキコ)(著)
担当章:第5章
教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)上級ドナーリレーションズ専門官。
サセックス大学大学院で開発と人類学の修士号を取得、コロンビア大学人文科学系大学院(フルブライト奨学生)にて博士課程単位取得後退学。コロンビア大学在学中に外務省JPO 選抜試験に通り、UNICEF アフガニスタンにて勤務。その後にUNESCO 本部(パリ)にて教育と緊急支援の業務に携わった後に外務省に入省し、本省・在ベトナム日本大使館にて勤務した後に再び国連に復帰し、UNESCO・UNICEF の教育部門チーフをアフガニスタン及びヨルダンで務めた後に、2018 年から、世界銀行の信託基金である「教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)」のパリにてドナーリレーションズのアジア総括に従事している。
矢野 智子(ヤノ トモコ)(著)
担当章:第2章
ユネスコ・国際教育計画研究所技術協力部シニア教育専門官。
コロンビア大学人文科学系大学院にて比較教育学・教育経済学でPh.D. を取得。博士課程在学中の2003 年よりユネスコ勤務。パリ本部で万人のための教育(EFA)の国際コーディネーションに関わった後、北京事務所、バンコクアジア太平洋事務所、ニューデリー事務所とアジアをフィールドに教育専門官およびマネージャーとして活動する。2018 年よりユネスコ本部生涯教育システム部教育政策課にて教育計画策定や教育財政分析などの仕事に携わり、また教師も生徒も幸福になれる学校とは何かを提示したユネスコ・ハッピースクール・イニチアチブの統括も行った。教育行財政や教育計画策定を専門とし、これまでサポートした国は15 か国以上にのぼる。2024 年9 月から現職。現職では、教育状況分析および教育計画策定にさらに特化した仕事をグローバルに行っている。
はじめに(小川啓一)
第1章 国際機関で働き、キャリアを築くということ(林川(勝野)眞紀)
第2章 葛藤と決断の国際機関のキャリアパス(矢野智子)
第3章 教育協力で国際貢献と自己実現(小原ベルファリゆり)
第4章 OECDで活躍するかっこいい女性たち(加藤静香)
第5章 GPEから日本の教育協力を見直す(松吉由希子)
第6章 国際機関で「好き」や「得意」を仕事に(岩崎(吉川)響子)
第7章 教育支援の現場で紡ぐキャリア(國松茉梨絵)
第8章 専門の「軸」を貫くキャリアパス(上野明菜)
第9章 国際機関への多様な入り口(岡本紗貴)
第10章 成果主義の世界銀行で働くということ(荘所真理)
第11章 失敗を恐れず、扉を叩く国際機関のキャリア形成(澤本亜紀子)
おわりに(水野谷優)
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