新国家建設と市場原理との格闘1991年ソ連解体後独立した旧ソ連圏諸国の教育は、理念・制度等全てにわたり、社会主義時代との連続面、非連続面が絡み合い、グローバリズムとナショナリズムが交錯する現代世界の教育を考える上で見逃せぬ問題を孕んでいる。本書はそれら諸国の内、中央アジアに位置しムスリムという共通性を持つ四カ国の教育を、現地研究者を加えた執筆陣が実態調査をふまえ、その知られざる動態を総合的に紹介・考察した貴重な研究である。
タイトル | 中央アジアの教育とグローバリズム |
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刊行日 | 2012年03月01日 |
著者 | 嶺井明子・川野辺敏編著 |
定価 | 3200+税) |
ISBN | 978-7989-0102-2 |
Cコード | 3037 |
ページ数 | 256 |
判型 | A5 |
製本 | 上製 |
はじめに――なぜ中央アジアか(嶺井明子)
序 独立前の中央アジア――自然・民族・歴史と教育(川野辺敏)
第Ⅰ部 中央アジア各国の教育改革の軌跡
第1章 ウズベキスタン共和国――「漸進的」改革モデル(嶺井明子)
第2章 カザフスタン共和国――躍進する中央アジアの雄(岩﨑正吾)
第3章 キルギス共和国――模索が続く国づくりと人づくり(関啓子)
第4章 タジキスタン共和国――内戦をのりこえて(遠藤 忠)
第Ⅱ部 教育をめぐる諸問題
第1章 農村の子どもの教育保障――帰還カザフ人・障がい児を中心に(アフメトワ グリザダ)
第2章 教育にみられる民族的特性――ウズベキスタン(マフカモワ サイーダ)
第3章 数学の授業過程からみた学びの特徴――カザフスタン(大谷 実)
第4章 「憲法教育」と国民統合の課題――ウズベキスタン(木之下健一)
第5章 「ロシア語化」「カザフ語化」政策 対 多言語主義――カザフスタン(スレイメノワ エレオノラ)
第6章 少数民族の母語教育保障のパラドックス――カザフスタン(タスタンベコワ クアニシ)
第7章 リテラシーと多言語併用をめぐる中央アジアのクロスロード――ヴィゴツキーL.S. とルリヤA.R. の「文化的=歴史的理論」(森岡修一)
第8章 グローバル化時代の高等教育の発展――キルギス(イサーエフ クセイン、ショクシェワ グリナーラ)
第9章 高等教育における公正性確保と質保証―不正行為対策に焦点を絞って―キルギス(松永裕二)
第10章 高校生の9割が学ぶ職業カレッジ――ウズベキスタン(水谷邦子)
第Ⅲ部 教育戦略とグローバル・ガバナンス
第1章 世界の「多極化」と中央アジアの教育協力(澤野由紀子)
第2章 教育戦略のグローバリズム(福田誠治)
おわりに(嶺井明子)