日本の大学の成立の根底に目を向けさせる白眉のドイツ大学史研究
日本の大学はドイツの大学をモデルに創られたといわれる。だが、ドイツでは、哲学部に全ての学問の王者として自然科学も含まれ、19世紀後半におけるその分離設立への道程は激しい葛藤が伴った。しかし日本では、そうした葛藤を経ることなく次々と理学部、工学部など独立的に設置され、哲学部が大学の中心的地位を占めることもなかった。こうした歴史的経験の差異は制度的類似を超えて、わが国の大学に欧米と異なる奇妙な欠落を生んだのではないか。国家と大学の関係、教授選任の変遷はじめ厳密なドイツの大学の歴史叙述を展開しつつ、同時にわが国大学に対する注視を呼び覚ます本書は、まさに白眉の大学史研究である。
タイトル | 大学改革の系譜:近代大学から現代大学へ |
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刊行日 | 2016年11月5日 |
著者 | 別府昭郎 |
定価 | ¥4180(本体¥3800+税) |
ISBN | 978-4-7989-1397-1 |
Cコード | C3037 |
判型 | A5 |
製本 | 上製 |
序 章
第一部 ドイツにおける近代大学の成立
第一章 ドイツ大学史における一八世紀の位置
第二章 一九世紀に至るまでの私講師の系譜にかんする考察
第三章 大学教師の精選とハビリタツィオンの導入
第四章 ドイツ大学史における公と私
第二部 古典的大学の創設と変容
第一章 ベルリン大学創設の理念
第二章 べルリンにおける大学と学部概念
第三章 一九世紀ベルリン大学における私講師
第四章 一九世紀後半から一九六六年に至るドイツ大学史における学部編成
第五章 哲学部の歴史的変容
第三部 大学大綱法施行とボローニャ・プロセスの時代
第一章 大学大綱法下のドイツ大学教師の種類
第二章 大学大綱法下におけるドイツ大学の教育事情
第三章 大学の改革動向
第四章 現代ドイツにおける大学教師の養成・任命・任務・給与
終 章
付論 歴史に学ぶ
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