架橋を阻む文化本質主義を超えて他国の文化・規範に接しそれを内面化しうる「国際理解能力」と、自国の伝統的規範を尊重しそれに立脚した「日本人性の確立」──この二つの目標の間に当然生じうる葛藤・衝突を無視した現在の一般的風潮の下では、多文化共生も異文化理解も、実効を欠いた理念的・規範的言説にとどまるだろう。諸文化間に侵し難い本質的差異を想定し、結局日本人性固守に帰着する「文化本質主義」を超えて、新たな異文化間架橋の途を具体的に追求した力作。
タイトル | クリティーク 多文化、異文化 |
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刊行日 | 2010年6月1日 |
著者 | 馬渕仁著 |
定価 | 2400+税) |
ISBN | 978-4-88713-995-4 |
Cコード | 3037 |
ページ数 | 246 |
判型 | 四六 |
製本 | 上製 |
第1部 多文化主義の葛藤
第1章 多文化主義とその課題
第2章 多文化主義へのまなざし―オーストラリア多文化主義とその歩み
第3章 多文化主義のリアリティ―多文化教育の行方
第1部のまとめ―多文化共生の課題
第2部 異文化理解の陥穽
第4章 英語教育にみられる文化の捉え方
第5章 日本人論の問題
第6章 異文化理解と文化本質主義
第3部 本質主義からの解放
第7章 「文化本質主義」脱却への模索―職場での試み
第8章 「異文化間教育」の捉え直し―学会における試み
第9章 文化の捉え方をめぐって―活路はあるのか?
参考文献
索 引
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