科学と政治の癒着に対する厳格な批判
「原発は安全」という政治的神話が多くの科学者を拘束し、福島原発事故の遠因をなしたことが明らかな今、科学と政治の分離を厳しく説く本書の射程はさらに広がった。一見フクシマのそれとは真逆に見える科学者の良心的政治活動も、結局は科学の独立性を損なう罠と化すことをリットは見通しているのだ。これら主張と同時に、科学者の公正な真理告知と市民による科学政策選択の重要性を浮彫りにした本書は、現代を生きる人々とくに日本人に向けた切実な提言の書と言えよう。
タイトル | 科学の公的責任 |
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サブタイトル | 科学者と私たちに問われていること |
刊行日 | 2015年08月31日 |
著者 | テオドール・リット著 小笠原道雄・野平慎二編訳 |
定価 | ¥1980(本体¥1800+税) |
ISBN | 978-4-7989-1307-0 |
Cコード | C1030 |
ページ数 | 144 |
判型 | 四六 |
製本 | 並製 |
編訳者まえがき
凡例
Ⅰ科学の公的責任
客観的な立場を取るのか、それとも参加するのか
真理の番人としての科学
科学の分裂
人間以外のものに関する科学
人間に関する科学
科学の自己誘惑
結語
Ⅱテオドール・リット教授の「原子力と倫理」講演をめぐる討論
討論の流れ
解題
Ⅰ科学の公的責任
Ⅱテオドール・リット教授の「原子力と倫理」講演をめぐる討論
編訳者あとがき
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