市民から主権者へ―パラダイム転換の理念と方策
これまで民主社会創造の主体とされてきた市民や労働者は、今やその役割を果たすには不十分である。私たちは選挙時だけの有権者でもなければ、大きな企業に振り回されているだけなのでもない。自らがこの社会を創り直す政治的かつ経済的な主権者として生きるための、不可欠な意識改革とは何か。本書は歴史と社会の分析をつうじて、市民から主権者への、パラダイム転換の理念と方策を提示する。
タイトル | 主権者の社会認識 |
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サブタイトル | 自分自身と向き合う |
刊行日 | 2016年7月15日 |
著者 | 庄司興吉 |
定価 | ¥2860(本体¥2600+税) |
ISBN | 978-4-7989-1372-8 |
Cコード | 3036 |
ページ数 | 288 |
判型 | A5 |
製本 | 並製 |
目 次
はしがき
Ⅰ 主権者とは誰のことか
1 自分の社会のあり方・行き方を決める
1.1 誰でもが主権者
1.2 自分の社会のあり方・行き方を決める
1.3 主権者の新しさ―たかだか数十年の歴史
1.4 主権者の新しさ―まだ主権者たりえていない人びと
1.5 一度主権者になるだけでは十分でない
1.6 主権者であることの恐ろしさ
2 民主社会の成り立ちと広がり
2.1 自治都市から出発
2.2 イギリス革命で主権者はどこまで成長したか?
2.3 では、アメリカ独立革命ではどうか?
2.4 さらに、フランス大革命ではどうか?
2.5 ナショナリズムと市民あるいは主権者
2.6 植民地主義と帝国主義
3 資本家・資本主義と民主社会
3.1 ブルジュワとしての市民
3.2 最初は資本主義の精神?
3.3 資本蓄積のメカニズムに引きずられる資本家
3.4 資本主義膨張と恐慌
3.5 帝国主義と世界大戦
3.6 最初から陰の主役は植民地だったのでは?
4 労働者・社会主義と市民社会
4.1 資本主義が生み出した労働者
4.2 組合を結成して対抗へ
4.3 普通選挙の普及にも貢献―しかし女性や少数民族と競合関係に
4.4 社会主義の理想と実践
4.5 科学的社会主義から一党独裁へ
4.6 前提条件としての民主社会
5 植民地解放後と市民社会
5.1 民族解放運動と植民地解放革命―ラテンアメリカ
5.2 民族解放運動と植民地解放革命―アジア
5.3 民族解放運動と植民地解放革命―中東・アフリカ
5.4 政治的独立と経済的自立の困難
5.5 従属理論と東アジアその他の経済成長
5.6 文化的闘争への拡大と新思想の出現
6 本当の民主社会はこれから
6.1 先進社会の行き詰まり
6.2 新自由主義からグローバル化へ
6.3 現代思想の展開
6.4 ポストコロニアリズムからの批判 7
6.5 サバルタンとマルチチュード―未主権者と脱主権者
6.6 主権者化と再主権者化の連携で地球民主社会へ 1
Ⅱ 主権者が社会をとらえる
1 全身で世界をとらえる63
1.1 主権者になり、なり直すために
1.2 自己言及の反復
1.3 受けてきた教育の洗い直し
1.4 ハビトゥスとしての私
1.5 ハビトゥスをたえず超え出ていく私たち
1.6 認識主体としてのネットワーク主権者
2 共同性と階層性の相克
2.1 社会の4つの基本相
2.2 共同性としての社会
2.3 階層化する社会
2.4 社会膨張のダイナミズム
2.5 民族と階級の起源
2.6 階級闘争史観から民主社会史観へ
3 宗教・国家・市場・都市
3.1 平等と不平等の矛盾を緩和する
3.2 宗教は最初の社会統合
3.3 宗教の物化したものが国家
3.4 人間的自然としての市場
3.5 社会統合の要としての都市
3.6 都市を中心とする社会のシステム化
4 一次システムとしての帝国
4.1 帝国の意味
4.2 宗教の諸形態
4.3 特異点としての皇帝の身体
4.4 普遍宗教と帝国の興亡
4.5 帝国の興亡から最終崩壊へ
4.6 膨張の必然性と補給の限界
5 二次システムとしての民主社会
5.1 主体としての市民
5.2 宗教の内面化から無神論へ―科学技術の発達
5.3 国民国家の形成と民主主義の普及
5.4 普遍的市場化と止めどない産業革命
5.5 巨大化する都市と市民の疎外―マルチチュードとサバルタン
5.6 市民社会の根本矛盾はどこにあるのか?
6 暴力の制御と社会・生態システムの形成
6.1 産業革命と環境破壊 6
6.2 社会の生態系内在性と社会・生態システム観
6.3 社会形成を貫いてきた暴力の現段階
6.4 暴力の現段階に責任があるのは誰か?
6.5 圧政打倒・非暴力抵抗・焼身自殺と自爆攻撃
6.6 暴力を制御しつつ社会・生態系の形成へ
Ⅲ グローバル化と情報社会変動
1 米ソ冷戦終結後の現実
2 市場社会化の徹底
3 電子情報社会化の進展
Ⅳ 新帝国か地球民主社会か
1 グローバル化と新帝国の形成
2 新帝国の意味
3 新帝国の軍事帝国化
4 マルチチュードの主権者化と地球民主社会
5 ヨーロッパと東アジア、とくに日本の負い目
6 脱近代世界に向けての主権者の役割
Ⅴ 地球民主社会としての現代社会
1 なぜ地球社会でなければならないか?
2 社会の基本相から見た地球社会
3 地球社会を民主化していく過程と運動
Ⅵ 主権者化と再主権者化の方向
1 現代社会の現実
2 社会認識の方向
3 脱構築の脱構築
4 「帝国」的システム
5 未主権者状態と脱主権者化
6 主権者化と再主権者化の方向
Ⅶ 主権者の主権者による主権者のための社会認識
1 日本社会の主権者として―立論の前提
2 市民史観から主権者史観へ―人類史の総括
3 普遍主義の普遍化と相対主義の相対化―人間と社会の理論
4 主権者の政府と事業―実践の指針
Ⅷ 主権者の現代社会認識―歴史認識・民主社会・平和国家
1 理論と方法―現代社会のマトリクス
2 問題と歴史―基礎となる歴史認識の共有
3 構造と意味―基本社会システムとしての民主社会
4 戦略と主体―共有戦略としての平和国家
5 総体と展望―主権者の民主協同社会へ
文 献
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事項索引
人名索引