学生の教育評価を加えた大学内・外質保証の総合化へ
認証評価や大学ランキングなど外部質保証、標準試験や卒論など直接評価による大学の内部質保証等、これら既成の方式に加え、今注目されているのは教育質向上の基底的データとして学生による教育評価の活用だ。本書は、国際的視野の下、上記諸方式の意義と問題点はじめ大学教育の質保証につき包括的に考察するとともに、大学教育と学生の成長・成果との関係性、即ち学生調査等を通じたカレッジ・インパクト研究をこの問題の鍵として焦点化した労作である。
タイトル | 高等教育の質とその評価 |
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サブタイトル | 日本と世界 |
刊行日 | 2016年9月10日 |
著者 | 山田礼子編著 |
定価 | ¥3080(本体¥2800+税) |
ISBN | 978-4-7989-1383-4 |
Cコード | C3037 |
ページ数 | 280 |
判型 | A5 |
製本 | 上製 |
はじめに
序章 間接評価の開発とその効果の検証
はじめに―本研究がめざしてきたもの
1 本研究の到達点
2 本研究が乗り越えるべき課題
3 本書の構成
第1部 質保証 高等教育の質 国際比較
第1章 高等教育における質のアセスメント ―動向と課題
はじめに―質のアセスメントの動向と本章の課題
1 評判によるランキング
2 容易に収集可能なデータによるランキング
3 恣意的な重みづけ
おわりに―より根本的な問題とアセスメントの課題
第2章 高等教育と質の問題
1 世界的競争力の追求と評価文化
2 アクレディテーションと学習成果―背景にあるもの
3 学習成果とアクレディテーション
4 内部からの質保証と学習の改善
おわりに
第3章 オーストラリア高等教育における基準の明示化への挑戦
はじめに
1 高等教育における質保証
2 オーストラリア高等教育基準枠組み
3 現在の開発状況
4 オーストラリアにおいて教授学習基準を開発するための課題
おわりに
第4章 大学の質保証と大学ランキング
1 本章の課題
2 大学の質保証と大学評価
3 市場型と制度型大学評価
4 市場型大学評価と大学ランキング
5 制度型と市場型大学ランキングの比較
6 世界大学ランキングと大学ランキングへの向き合い方
第5章 東ヨーロッパの高等教育における 国際競争
はじめに
1 旧ソビエト時代における東ヨーロッパの高等教育
2 国際的な大学ランキング
3 ワールドクラスになるという圧力
4 質の保証
5 国際化と学生の流動性
おわりに
第6章 大学・政府・社会 ―日本における近年の大学改革の背景
はじめに
1 高等教育改革の理由と動機
2 規制緩和と説明責任
3 政府全体の行政改革の一環としての高等教育改革 ―国立大学の法人化
4 大学と政府との新たな関係
第7章 質保証のための学生参画 ―イギリスの事例から
はじめに
1 戦略2011-14
2 学生参画の在り方
3 NUSとの協同プロジェクト
4 学生参画の現状
まとめ
第2部 学習成果、学習成果の測定方法
第8章 JJCSSに続く新たな短期大学生調査 の開発 ―ヒアリング調査の考察を中心に
はじめに
1 研究対象と目的
2 これまでのJJCSSの利用状況と問題点
3 ヒアリング調査の実施
4 JJCSSを利用した学習成果の評価の可能性
5 おわりに
第9章 短期大学学生の進学動機と将来展望 ―JJCSSの結果から
はじめに
1 調査の概要
2 進路選択のモチベーション
3 将来への希望
おわりに
第10章 JCSSに見る大学教育におけるアクティブ・ ラーニングの状況
はじめに
1 分析の概要
2 アクティブ・ラーニング型授業の専門分野別取組み状況
3 アクティブ・ラーニング型授業と授業外学習時間
4 アクティブ・ラーニング型授業と学習行動
5 アクティブ・ラーニング型授業と学習成果
おわりに
第11章 継続・複数学生調査の不変性と可変性に関する探索的研究
はじめに
1 データの概要と分析方法
2 不変性のある項目と可変性のある項目の特徴
3 不変性の高い項目例に見る回答の分布状況
4 可変性の高い項目例に見る回答の分布状況
おわりに
第12章 項目反応理論を用いた大学満足度項目の等化
はじめに―大学満足度の問題構図
1 先行研究の整理と本研究の課題
2 データ概要
3 方法―項目反応理論を用いた大学満足度項目の等化
4 結果
まとめ―大学満足度の経年変化の可視化
第13章 どのような学生が「主体性」を伴う学習行動をしてきたか
―日本人版新入生学生調査(JFS2013)を活用した要因分析
はじめに
1 データ概要
2 分析の視点
3 結果
4 考察
第14章 学習成果志向の高等教育政策における日本人大学生の学習成果の検証
はじめに
1 日本における最近10年間の高等教育政策動向
2 中央教育審議会2012年答申における新たな視点
3 先行研究の整理と問題の設定
4 分析に用いるデータと研究の枠組み
5 調査結果
考察とまとめ
終章 高等教育の質評価の将来