8年に渡る継続的調査をもとにした統計的分析により、これまで研究されてこなかった学力格差の小4年次頃からの通時的拡大のメカニズムを実証的に解き明かし、就学前教育から低学年教育への重要性を指摘した、現代日本の最先端課題の核心に迫る労作である。
タイトル | 学力格差拡大の社会学的研究 |
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サブタイトル | 小中学生への追跡的学力調査結果が示すもの |
刊行日 | 2017年11月30日 |
著者 | 中西啓喜 |
定価 | ¥2640(本体¥2400+税) |
ISBN | 978-4-7989-1438-1 |
Cコード | C3037 |
ページ数 | 176 |
判型 | A5 |
製本 | 上製 |
序章 日本の学力研究における問題の所在
1 日本の学力研究の変遷
2 期待される政策的インプリケーション
3 本書の構成
第Ⅰ部 これまでの研究の概要とデータの紹介
第1章 学力研究の動向
1 研究の視点
2 教育における不平等生成に関する先行研究のレ ヴュー
3 教育における不平等克服の試みに関する先行研 究のレヴュー
4 何が明らかにされており、何が明らかにされてい ないのか
第2章 データの概要
1 「青少年期から成人期への移行についての追跡的研究」 (Japan EducationLongitudinalStudy:JELS)の特徴
2 日本の学力パネル調査の現状と本書の位置づけ
3 本書の分析データの概要
4 想定される脱落の傾向
5 脱落サンプルについての先行研究レヴュー
6 脱落サンプルの分析
第Ⅱ部 教育達成の不平等はどのように生まれ、 変化するのか?
第3章 学力の不平等はいつ発生し、どのよ うに変化するのか
1 本章の目的
2 算数数学通過率の分布の確認
3 社会階層別に見た算数数学通過率の分布
4 算数数学の通過率はどのように変化するか
5 成長曲線モデルによる分析
6 知見の要約
第4章 教育達成の性差のメカニズムを探る
1 本章の目的
2 先行研究のレヴューと本章の位置づけ
3 本章で用いる変数と手続き
4 算数数学通過率の男女間格差
5 国語および算数数学選好度の変化の記述的分析
6 成長曲線モデルによる算数数学選好度の分析
7 まとめ:教育達成の性差のメカニズム
第Ⅲ部 教育における不平等はいかにして克服 が可能なのか?
第5章 学力の不平等は、努力によって克服 できるのか?
1 本章の目的
2 本章で用いる変数と手続き
3 分析の方法
4 学習時間の効果推定
5 学習時間の効果は出身階層別に異なるのか?
6 知見の要約
第6章 本の読み聞かせ経験は学力を「高め る」のか? Ⅰ
1 本章の目的
2 先行研究のレヴュー
3 本章で用いる変数と手続き
4 本の読み聞かせはどのタイミングが効果的か
5 知見の要約
第7章 本の読み聞かせ経験は学力を「高め る」のか? Ⅱ
1 本章の目的
2 分析戦略:傾向スコアマッチング
3 データ方法変数と手続き
4 分析
5 知見の要約
第8章 学校教育は学力格差を是正するか?
1 本章の目的
2 分析1:クラスサイズによる学力の水準差の検証
3 分析2:クラスサイズによる学力推移の検証
4 まとめ
終章 教育における不平等をどのように是正 していくか
1 知見の要約
2 知見から得られる政策的インプリケーション
3 残された課題
引用参考文献/あとがき/索引