グローバリズムへの従順が、
わが国の教育にカタストロフィをもたらす!
1980年代以降、それまでの近代的国民教育から、経済成長に資する能力育成が学校教育に求められるようになり、学習は「投資」になった。本書は、アメリカやヨーロッパ、日本などにおける国民教育が、OECDやUNESCOなど国際機関が推進した経済的能力育成教育へと移行する過程において、国家によって異なるかたちで顕在化した今日まで続く課題の諸相を浮かび上がらせた労作である。訳文には原文を常に併記し、緻密な索引なども充実した、グローバル化と教育に関わる数多くの問題の根底を示した比類なき一冊。
タイトル | ネオリベラル期教育の思想と構造 |
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サブタイトル | 書き換えられた教育の原理 |
刊行日 | 2017年12月25日 |
著者 | 福田誠治 |
定価 | ¥6820(本体¥6200+税) |
ISBN | 978-4-7989-1460-2 |
Cコード | C3037 |
ページ数 | 664 |
判型 | A5 |
製本 | 上製 |
はじめに
序 章 今日の教育問題とは
第1節 正解を伝達するのか生徒の探究活動を支援するのか
第2節 教師の役割の変化はなぜ必要なのか
第3節 教育行政の変革はどのようにして起きてきたのか
第1部 政治視点から経済視点への転換
序
第1章 グローバル時代の大学―国際的な学力とは
第1節 大学の変貌
第2節 知識を切り売りする
第3節 教育管理に効率を持ち込め
第4節 知識は伝達し切り売りでき教育成果は目に見えるものなのか
第2章 教育投資の拡大と義務教育の喪失
―生涯学習制度の意味
第1節 生涯学習論の提起、1960 年代のヨーロッパ
第2節 義務教育制度の組み替え―自ら学ぶことの意義
第3章 グローバルな大学改革の始まり
第1節 人類の合意―権利としての教育、とりわけ高等教育への展望
第2節 ネオリベラリズムによる公共財の民営化
第3節 先頭を切ったニュージーランド
第4節 低学力対策としてのアクティブ・ラーニング―自発の強制
第5節 グローバリズムの教育版「貸与・借用理論」の起源と適用
第4章 生涯学習論の再提起
第1節 万能の特効薬―国際合意となった「生涯学習」
第2節 高度な技能者の移動
第3節 教育の自由市場
第2部 教育効果を測る―OECDデータ戦略
序
第5章 学力論と能力政策の拡大
―非認知能力育成を学校教育に組み入れる
第1節 人的能力政策―マンパワー論
第2節 非認知能力への注目
第3節 職業教育からの要請
第4節 学習文化の型
第5節 子ども中心主義の制度的認定
第6節 日本的経営の研究
第7節 OECDが暗黙知に踏み込む
第6章 広域テストから国際調査へ
第1節 知を測定するOECD、国境を越える学力調査の始まり
第2節 国際成人識字調査、広域テストの始まり
第3節 大西洋を越えたテスト文化、IEA
第4節 OECDの機構整備
第5節 欧州連合
第6節 米国がネオリベラル教育政策に突入
第7章 データ戦略の確立
第1節 OECDが学歴を測る、まず教育制度の国際統一
第2節 OECDが教育政策測定に乗り出す
第3節 OECDが学校教育を測定する
第4節 OECDが学力を測定する
第8章 データ戦略の展開
第1節 コンピテンスが学力の中心概念に採用される
第2節 OECDとDeSeCoのキー・コンピテンス論
第3節 2005 年のキー・コンピテンシー
第4節 2010 年のOECD
第5節 データ戦略の落とし穴
第6節 CEFRというコンピテンス標準
終 章 見えなかったものは見えたか
第1節 声なき声を聴くことが教師の専門性
第2節 教師に教育学(ペダゴジー)を持たせる
第3節 平凡を育てる教育の確保
おわりに
注
人名索引
国名索引
事項索引