問題
電通育英会と京都大学の溝上慎一教授によって2007年から通時的に行われてきた「大学生のキャリア意識調査」が捉えた大学生の実態とそこで表れた課題とは何か。
結論
今の大学教育では学生を変えられない。
なぜそう言えるか?―本意識調査データから分かること―
①この10年間の全国の大学生の学びと成長をさまざまな観点から分析して、大学生はこの10年間ほとんど変わっていないか、観点によっては成長が落ちているといえる。全体で見ても、偏差値別に見ても、この結果は変わらない。
②文科省施策の観点からは、この10年は学士課程答申、質的転換答申をはじめ、大学教育による学習成果、内部質保証を目指す機関であった。その10年の結果がこれである。
どうするか?
①どのような特徴を持つ学生が新しい社会に適応できるのか、学び成長するのかという見方はずいぶん出そろってきている。本気で最後まで教育改革というレースを走り切ろうとしている大学はどこかを見定めていくのが、今後の課題である。
②中学校・高等学校から、先々の仕事・社会をある程度見据えながら生徒の資質・能力等を育て、大学や仕事・社会に彼らの学びと成長(バトン)を引き渡していく「トランジションリレー」が必要だ!
タイトル | 大学生白書2018 |
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サブタイトル | いまの大学教育では学生を変えられない |
刊行日 | 2018年8月20日 |
著者 | 溝上慎一 |
定価 | ¥3080(本体¥2800+税) |
ISBN | 978-4-7989-1513-5 |
Cコード | C3037 |
ページ数 | 160 |
判型 | A4 |
製本 | 並製 |
はじめに
「大学生のキャリア意識調査」質問リスト
第1章 「大学生のキャリア意識調査」の結果を読み解くために(解説)
1.「大学生のキャリア意識調査」の特徴
2.学び成長する学生のキャリア意識は高い
3.学習とキャリア意識はどのように繋がったか(1)
4.学習とキャリア意識はどのように繋がったか(2)
5.因果関係の捉え方
6.10年トランジション調査の結果より―大学生からでは資質・能力はなかなか育たない―
7.文科省施策の展開と関連づけて
第Ⅰ期 大学教育改革の始動(1991-1997年)
第Ⅱ期 組織的な教育改善の基盤づくり(1998-2007年)
第Ⅲ期 学士課程教育の質的転換に向けて(2008-2014年)
第Ⅳ期 高大接続を加えて学士課程教育の学修成果・内部質保証(2015年~現在)
8.まとめ
第2章 「大学生のキャリア意識調査」の結果
1.はじめに
2.調査概要
3.分析データ
4.主な結果
5.調査概要/分析データ
第3章 高等学校の卒業生調査、大学の数学IRベンチマークとして
1. 分析イメージ
2. ベンチマークとしての推奨項目
3. 調査の実施方法について
巻末付録1:『大学生のキャリア意識調査2016』調査票
巻末付録2:『大学生のキャリア意識調査2016』属性別の結果
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