不寛容の蔓延る世界の総合的改善〈パンオルトシア〉に向けたコメニウスの具体的改革案
コメニウスの遺稿『人間についての熟議』の第六部を成す「パンオルトシア」。
ここでは世界の総合的改善のための段階的手順が指南される。
個々が神の冒涜や非人間的要素を棄却することに始まり、総合的な哲学・政治・宗教・言語の確立を通し、
最終的には光の学術会議・神聖の枢機会議・平和の法院という3つの世界会議およびそれらを包括した世界総会の存在によって、キリスト教的伝統に立脚しつつも世界全体を包括した総合的改善を志向する。
――ゼノフォビアの気運が高まる現代への示唆。
シリーズ | コメニウスセレクション5 |
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タイトル | パンオルトシア |
サブタイトル | 世界会議の創設 |
刊行日 | 2020年11月30日 |
著者 | J.A. コメニウス著 太田光一・相馬伸一訳 |
定価 | ¥7040(本体¥6400+税) |
ISBN | 978-4-7989-1659-0 |
Cコード | 3310 |
ページ数 | 528 |
判型 | A5 |
製本 | 上製 |
はしがき
凡 例
解 説
序
第一章 総合的改善とはどういうことか。これまで総合的にはまったく試みられてこなかった。またそれがいかに望ましいことであるか。
第二章 世界の終わりの前に、普遍的改善の疑えない期待がある。
第三章 普遍的な改善はキリストの事業である。キリストはそこから滑り落ちたすべてを回復させる。
けれども私たちの協力が必要である。しかし事柄のこの状態からすればもはや難しいことではない。第四章 改善は、キリスト教徒の間で始めねばならない。
第五章 総合的な改善のイデア
第六章 総合的な改善に強力に抵抗している悪を止めることについて。まず、魂の麻痺、無頓着、先入観、強情を追い払うことについて。
第七章 精神の冒涜を、すなわち神との軽率な行動を取り除くことについて。
第八章 非人間性を止めることについて。すなわち、お互い同士の軽率な活動と、そこから生じる互いの不和、憎悪、不正について。
第九章 軽率さを、すなわち事物の盲目的で不安定で暴力的な取り扱いを除去することについて。
第十章 すべての新しいことを、すなわち総合的な哲学、総合的な宗教、総合的な政治を構築する必要性について。それによって私たちは対立せず、私たちの幸せの目標から遠く離れてしまうことが、もうなくなるはずだ。これはどこから手に入れるのか(四十三節)、またどのように作り上げるのか(四十五節)。
第十一章 人間の精神を完全な状態へと手引きする、新しい総合的な哲学について。第十二章 新しい総合的な政治について。それは人間社会を完全な状態へと向ける。
第十三章 新しい本当に総合的な宗教について。それは人間の心を完全な状態に向けて形成する。第十四章 総合的言語について。
第十五章 いったん正しく確定されたすべてを安定させる必要性について。それは幸福な時代の絆である、三つの最高の集会である評議会による。そしてそれらはどのようなものであるべきか。
第十六章 学識者たちの普遍的な絆である光の学術会議について。第十七章 政治の普遍的絆である平和の法院について。
第十八章 教会の普遍的絆、すなわち全世界の枢機会議について。
第十九章 普遍的改革を成功させるための出発と進行について。またそこで賢明に実施するための要件が説明される。第二十章 改革は、まず最初に各人が自分自身から始めねばならない。
第二十一章 家族の個別的な改革
第二十二章 学校の個別的な改革に当面急いで着手しなければならないのはなぜか(一~十節)。どのように行なうべきか(十一~十三節)。それは堕落の原因を取り除くことによって(十四~二十節)、より改善されたものと置き換えることによって(二十二節)、そして安定させることによって改善する。第二十三章 教会の当面の個別的な改革
第二十四章 政治の改革
第二十五章 普遍的改革を保証する世界総会ないしは公会議
第二十六章 より良い世界の像、すなわち、このように改善された世界の祝福された状態について。
第二十七章 すでに達成された、あるいは直ちに達成されるはずの、祝福されたあのより良い状態のための、〈聖三位一体〉への頌歌
訳 注
あとがき
索 引