国際法の現在地の俯瞰――未来への礎。
【坂元茂樹・薬師寺公夫両先生 古稀記念論文集2】
パンデミックの終息に未だ光が見えない今日、国際社会の流動性・脆弱性が再認識されている。その点において、生起した新たな現実と既存の伝統的規範との葛藤の中で、国際秩序の形成・維持を担う国際法学の学問的探求もまた間断なく続けられるだろう。国際法の幅広いテーマから52に及ぶ論考を収録した本論集が示した国際法の現在地が、未来のよりよい国際社会の秩序形成に向けた確かな礎となる――。
タイトル | 現代国際法の潮流Ⅱ |
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サブタイトル | 人権、刑事、遵守・責任、武力紛争 |
刊行日 | 2020年11月15日 |
著者 | 浅田 正彦・桐山 孝信・德川 信治・西村 智朗・樋口 一彦編集 |
定価 | ¥9240(本体¥8400+税) |
ISBN | 978-4-7989-1662-0 |
Cコード | 3032 |
ページ数 | 536 |
判型 | A5 |
製本 | 上製 |
はしがき
引用文献略語一覧(洋文献) 執筆者紹介
執筆者紹介
人権
人権条約の実施における時間的管轄 (前田直子)
人権法としての難民法 (阿部浩己)
―膚接と断層―
難民の国際的保護 (山神 進)
20 世紀前半期欧州の住民移動をめぐる国際法 (桐山孝信)
―人権アプローチへの険しい道のり―
EU における「合法移民」に関する共通政策の進展 (中坂恵美子)
共通欧州庇護システム(CEAS)改革の動向 (戸田五郎)
難民認定における良心的兵役拒否をめぐる問題 (北村泰三)
―国際人権法を参照した『迫害』要件の解釈について―
先住民族の個人認定をめぐる国家、集団、個人の対立 (小坂田裕子)
差別扇動の禁止と人権保護 (申 惠丰)
―自由権規約第20条2項に関する個人通報先例を題材に―
強制失踪条約の現代的位相 (寺谷広司)
―手段的・刑事的・即応的性格に見る人権条約・国際法上の諸特徴―
刑事
ジェノサイド条約の解釈と適用 (稲角光恵)
―国際司法裁判所の判断に関する考察―
国際刑事裁判所における「同一人物・同一行為」基準の適用 (古谷修一)
―補完性に関する法と政策の狭間―
「共同犯罪実体(JCE)」概念の再検討 (木原正樹)
―カラジッチ事件およびムラジッチ事件 ICTY 第一審判決を素材として―
海賊に対する身代金の支払の法的評価 (中谷和弘)
遵守・責任
伝統的国家責任法における公債 (湯山智之)
国際義務の違反認定における「国家責任法と条約法の交錯」 (萬歳寛之)
―南シナ海仲裁判決を素材として―
サイバー・セキュリティ事案における「相当の注意」義務 (西村 弓)
外交的保護における個人の国籍の実効性 (山下朋子)
―重国籍者、長期居住外国人、難民に関する事例の検討から―
多数国間環境協定における遵守手続の到達点 (西村智朗)
―パリ協定の遵守手続を素材として―
「環境損害」の賠償問題 (繁田泰宏)
―ICJ サンファン川事件(金銭賠償)判決を手がかりに―
武力紛争
慣習国際人道法の認定方法 (川岸 伸)
―ICTY をめぐって―
兵器システムの自律化と「不断の注意」義務 (黒﨑将広)
―兵器の合法性審査と刑事責任の可能性―
化学兵器の使用と国際法 (浅田正彦)
―シリア内戦を契機として―
国際人道法適用における反徒 (樋口一彦)
―「明日の政府」か?「テロリスト」か?―
占領地域における人権条約の適用 (新井 京)
―欧州人権条約の判例を中心に―
日韓戦後賠償訴訟における執行免除規則の適用可能性 (松井章浩)
坂元茂樹先生 略歴および主な業績
薬師寺公夫先生 略歴および主な業績