街の小さな食堂でアルバイトとして働くうら若い女性は、春には中学三年になるという冬に母をなくし、以来、妹二人と父との家庭を整える主婦代わりをしてきた。高校を卒業して三度めの五月、声をかけてきた大学生がいた。ちょっとした偶然の重なりがもたらす死。幾つかの些細とも言える状況によって選択し、迷いながらも生きてゆく人々。どこにでもある若者の恋。市井の人々を慈しむ眼差しがここにある。
タイトル | 戯曲 母をなくして |
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刊行日 | 2021年4月 |
著者 | 松永澄夫 |
定価 | ¥1980(本体¥1800+税) |
ISBN | 978-4-7989-1697-2 |
Cコード | 0095 |
ページ数 | 144 |
判型 | 四六 |
製本 | 上製 |
第一幕
第一場 小さな食堂 一九六七年五月
第二場 富士塚の頂上
第三場 食堂 五月下旬
第四場 夜の町の通り
第二幕
第一場 早苗の前の家の畳の部屋 六年前(一九六一年)の二月 土曜の午後
第二場 土曜の夜
第三場 日曜の朝早く
第四場 祖母の回想:北海道夕張 早苗の祖母の家 七年前(一九六〇年)二月
順に早苗の母、昌代が実家に到着したとき・葬式が終わって・
それから二日後・昌代が東京に帰る前
第五場 第三場の続き
第三幕
第一場 早苗の現在の家のダイニング 一九六七年七月初め
第二場 洋館前の庭
第三場 藤井の兄の寮
第四場 洋館前の庭
あとがき
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