加速化する自国中心主義――安保理改革への展望は開けるか?
元国連事務次長、明石康氏の「刊行によせて」緊急収録。
「研究者による国連研究はわが国でも少なくないが、国連で大使とか政務担当の国際公務員を務めた人たちが多数を占める研究書が、このたび出版される運びになったことを心から喜びたい。・・・この優れた著作が、近年経済力が低下し内向き平和主義にさいなまれている観のあるこの国の論壇によって、真剣な検討の対象となり、ひいては国連改革に関する関心を盛り上げ、それに新しい息吹を注入することになれば本当に嬉しいと考えている。」(本書「刊行によせて」より抜粋)
敗戦国日本の躍進、多くの独立国家誕生、米ソ冷戦とその崩壊後、現在多極化から米中対立へ国連発足以来75年間で世界の勢力構造は変容した。他方、国連安保理の構造改革は進んでいない。わが国は安保理改革として常任理事国入りを目指したが、成果はない。この間、自国の国益を優先する国際潮流が強まり、多国間主義は厳しい挑戦に晒されている。研究者のみならず、国連大使経験者や国連本部職員として第一線での実務経験者も多く執筆陣に迎え、これまでの安保理改革の実態を明らかにし、実現可能な改革を探る労作。
タイトル | 国連安保理改革を考える |
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サブタイトル | 正統性、実効性、代表性からの新たな視座 |
刊行日 | 2021年06月30日 |
著者 | 竹内 俊隆・神余 隆博編著 |
定価 | ¥3850(本体¥3500+税) |
ISBN | 978-4-7989-1718-4 |
Cコード | 3032 |
ページ数 | 360 |
判型 | A5 |
製本 | 上製 |
刊行によせて(明石康)
まえがき(竹内俊隆)
序 章 安保理案内(神余隆博・川端清隆)
第Ⅰ部 安保理改革をめぐる政治と歴史
第1章 安保理改革議論の歴史(中野健司)
第2章 日本にとっての安保理改革(神余隆博)
第3章 なぜ安保理改革は進展しないのか(川端清隆)
コラム1:ジョン・ボルトン氏と安保理改革(神余隆博)
第Ⅱ部 安保理の諸機能と改革の影響:正統性、実効性、代表性
第4章 安保理の紛争対処機能(岡村善文)
第5章 安保理改革と国連総会の役割(中野健司)
第6章 経済制裁と正統性・実効性(吉村祥子)
第7章 安保理と人権保障(菅原絵美)
第8章 投票力指数からみた安保理改革案(竹内俊隆)
コラム2:国連の椅子~改革は可能か(岡村善文)
第Ⅲ部 諸外国から見た安保理改革議論と今後の展望
第9章 P3と安保理改革(リチャード・ゴーワン(竹内俊隆訳))
第10章 安保理改革に臨むアフリカの立場(岡村善文)
第11章 今後の展望と課題(神余隆博)
コラム3:第69会期の政府間交渉(中野健司)
安保理改革関連文書/あとがき(竹内俊隆)/執筆者一覧
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