国や企業が黙殺する避難生活を余儀なくされた避難者の叫び。
多くの人びとが避難を強いられた福島第一原子力発電所の重大事故から10 年。なかでも、避難指示区域外からの避難者は、東電の賠償も国の支援も貧しく、多くが経済的に困窮した。住み慣れた土地を離れることを決意した親世代、思春期の只中で急な環境変化を強いられた子世代―避難生活にともなう困難や苦難は一様ではない。避難者たちのインタビューの語りや京都地裁に提出した陳述書とアンケート調査の分析を通し、避難を決定するにいたった経緯や避難生活のリアルを克明に描く、わが国の災害事故対応のあり方に変革を突き付けた一冊。
タイトル | 原発事故避難者はどう生きてきたか |
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サブタイトル | 被傷性の人類学 |
刊行日 | 2021年12月25日 |
著者 | 竹沢尚一郎 |
定価 | ¥3080(本体¥2800+税) |
ISBN | 978-4-7989-1733-7 |
Cコード | 3036 |
ページ数 | 368 |
判型 | A5 |
製本 | 並製 |
竹沢 尚一郎(たけざわ しょういちろう)
国立民族学博物館・総合研究大学院大学名誉教授。専門:災害人類学、アフリカ研究。福井県生まれ。1976 年東京大学文学部卒業。1975 年フランス社会科学高等研究院修了(社会人類学博士)。九州大学助教授、教授を経て、2001 年から2017 年まで国立民族学博物館・総合研究大学院大学教授。
主要著書:『社会とは何か:システムからプロセスへ』(2010 年、中央公論新社)。『被災後を生きる:吉里吉里・大槌・釜石奮闘記』(2013 年、中央公論新社)。The Aftermathof the East Japan Earthquake and Tsunami: Living among the Rubble( 2016, Lexington Books)。『ミュージアムと負の記憶:戦争・公害・疾病・災害、人類の負の記憶をどう展示するか』(編著、2015 年、東信堂)。
序 文
第一章 原発事故が人生を変えた
第二章 京都訴訟原告の陳述書は何を明らかにしているか
第三章 未成年者は避難生活のなかで何を経験したか
第四章 避難することの悲しさ、避難をつづけることの苦しさ
第五章 原発事故がもたらした精神的苦痛はいかに大きいか
第六章 困難を家族で力を合わせて乗り越える
結 論
文献/原発賠償訴訟一覧
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