タイトル 住民投票運動とローカルレジーム[増補第2版]
サブタイトル 新潟県巻町と根源的民主主義の細道, 1994-2004
刊行日 2024年10月
著者 中澤秀雄著
定価 ¥6380(本体¥5800+税)
ISBN 978-4-7989-1918-8
Cコード 3036
ページ数 320
判型 A5
製本 上製

原発の誘致と拒否――その選択を分けた要因は何か?

1960年代に共に原発建設計画が立ち上がった新潟県の巻町と柏崎市は、それぞれ住民投票による計画白紙撤回(巻町)と住民投票実施に至らず原発誕生(柏崎市)という異なる経路をたどった。本書は、このような経路を分かつ地方政治の独自のメカニズムを明らかにしつつ、巻町住民投票の事例に深く切り込むことで、より直接的に住民たちの声が政治に届く「根源的民主主義」の萌芽を見出す。地域社会と国政との狭間にある葛藤の中で揺れ動くローカルレジームのダイナミズムを描いた先駆的名著に、3.11後の追加調査に基づく増補論文も収録した増補第2版!

中澤 秀雄(なかざわ ひでお)(著)

1971 年 生まれ。
2001 年 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、博士(社会学)。
2006 年 本書初版により日本社会学会第5 回奨励賞、東京市政調査会第32 回藤田賞(当時)、日本都市社会学会第1 回若手奨励賞を受賞。
札幌学院大学社会情報学部専任講師、千葉大学文学部准教授、中央大学法学部
教授等を経て、現在、上智大学総合人間科学部社会学科教授。
主著 『環境の社会学』(共著)有斐閣、2009 年。
『炭鉱と「日本の奇跡」―石炭の多面性を掘り直す』(編著)青弓社、2018 年。
『戦後日本の出発と炭鉱労働組合―夕張・笠嶋一日記1948-1984 年』(共著)
 御茶の水書房、2022 年。
『台湾炭鉱の職場史』(共著)青弓社、2024 年。
Key Texts for Japanese Sociology (editor), Sage, 2025(forthcoming).

増補第2 版へのはしがき
 図表一覧
 凡例
はじめに
 対象地域と本書の構成
 「地域」をめぐる用語について
第1章 「巻町」という事件と戦後地域史
 1 節 「巻町」はなぜ事件となったのか
 2 節 地域の戦後史と成長主義
 3 節 ローカルレジームの諸形態
 4 節 本書の意義と方法
第2章 「角栄の風土」の原発都市
 1 節 「陸の孤島」の悲願と原発
 2 節 意図せざる電源三法
 3 節 「原発レジーム」のバランス・シート
 4 節 プルサーマル計画への住民投票運動
 小括
第3章 「西蒲選挙」の町の住民投票
 1 節 穀倉地帯の文化圏
 2 節 住民投票運動の展開
 3 節 制度政治と政治領域
 小括
第4章 巻・柏崎の対照的選択とレジーム移行
 1 節 比較の方法
 2 節 ローカルレジームの変動と失敗
 3 節 運動をとりまく諸変数
 4 節 レジーム移行とマクロ要因
 小括
第5章 「実行する会」という仕掛け
 1 節 巻住民投票の特異性
 2 節 「過程」を問題化する根源的民主主義
 3 節 臨界量としての「実行する会」
 4 節 閾値(Threshold)の乗り越え
 小括
第6章 根源的民主主義の細道
 1 節 根源的民主主義からゲーム論的対立へ
 2 節 町村合併問題と内発的発展の不発
 3 節 原発白紙撤回と合併の政治過程
 小括
結論
文献
Appendix 1 調査記録
Appendix 2 巻原発関連年表(1969-2004)
初版へのあとがき
増補論文: 原発立地自治体の連続と変容
 1 原発立地自治体の変容
 2 三次元的権力による構造化・主体化
 3 リスク文化とまちづくり
増補第2 版へのあとがき
人名・地名索引
事項索引

関連書籍
ページ上部へ戻る