【書評】関西教育行政学会編『日本の教育制度と教育行政(英語版)Japanese Educational System and its Administration』
日本教育新聞 8月27日 14面 書評より
現況と改革動向の理解に
日本の教育について英語で学んだり説明するのに役立つ図書が欲しい。本書はそのような願いに応えようとするものである。本書の特徴として、次の点が挙げられる。
第一に、日本の教育の制度や行政が平易に説明されていることである。本書は3部構成であり、第1部で学校制度や教育課程、教員制度などが、第2部で国と地方の教育行政、教育財政などがまとめられている。統計資料や年表なども掲載されていて、現況や歴史的経緯を理解するのに役立つ。
第二に、教育改革の動向が整理されていることであり、第3部がこれに充てられている。例えば、小中一貫教育や中高一貫教育、高大接続、国際化への対応などである。併せて、改革の背景にある教育政策過程も対象とされ、その変化が示されている。
第三に、コラム欄が設けられ、学校の日常や個別テーマが取り上げられていることである。例えば「小学校の一日」では、朝の会や給食も含めて一日の活動がタイムテーブルとともに描かれている。高く評価されることのある日本の授業研究も取り上げられ、その特色や課題が示されているのも興味深い。
本書は関西教育行政学会が創設60周年を記念して刊行したものである。同学会の長年にわたる研究活動と、多くの会員によるこのような図書の刊行に敬意を表したい。
(学習院女子大学教授 大桃敏行 評)
【東信堂 本体価格2,500円】