【書評】 浜田博文著『アメリカにおける学校認証評価の現代的展開』
「同業者評価」の意義・可能性(日本教育新聞 2014年4月7日より)
わが国では、2000年代に入り、「学校評価」の制度化が急ピッチで進められてきた。しかし、現在の学校評価制度が学校を改善する上で本当に妥当なものだろうか。
特に、「第三者評価」と呼ばれる学校の外部者による評価を含む学校評価の仕組みが、本当に学校改善を導く機能を果たし得る装置なのか。
本書は、このような疑問を基に、アメリカにおいて展開されてきた「学校認証評価制度」の展開をたどりつつ、「学校改善」につなげる学校評価の可能性を探っている。「認証評価(accreditation)」については、わが国でも大学に導入され、広く知られるようになったが、初等・中等レベルの認証評価制度がアメリカの「学校評価」の一つとして大きな役割を果たしていることはほとんど知られておらず、研究も少なかった。
本書の最も大きな特色は、アカウンタビリティーの理念に基づいて進められている現在のアメリカの教育改革の中で、「学校の改善」を全面に打ち出した認証評価の意義を明らかにしていることである。
今後のわが国の学校評価において、特に第三者評価を考える場合、認証評価制度の特色である「同業者評価」の意義、すなわち、学校改善にイニシアチブを発揮すべき教員自身の自律性と相互交流性に関心を払う必要があるとの指摘は納得できるものである。
(牛渡 淳・仙台白百合女子大学学長)
【東信堂 本体価格2,800円】