社会問題をめぐる理論と実践に向き合い、生涯をかけた知的営為の集大成。
―現代社会を生きるわれわれに向けられた舩橋社会学の遺功-
舩橋晴俊教授は、日本を代表する社会学者として、新幹線公害や水俣病など個別の環境・社会問題に取り組み、晩年は東日本大震災の発生に伴う原子力政策や放射性廃棄物問題など複合的な社会問題の解決に理論・実践の両面から注力してきた。しかし、同氏の研究業績を纏めた集大成としての大著が完成間近という時に急逝。研究者である遺族と弟子たちが力を結集させ、今、遂に完成となった。最期まで社会と向き合い奮闘した、研究者としての生き様と情熱をまざまざと感じさせられる、まさに不滅の功績である。
タイトル | 社会制御過程の社会学 |
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刊行日 | 2018年8月20日 |
著者 | 舩橋晴俊 |
定価 | ¥10560(本体¥9600+税) |
ISBN | 978-4-7989-1454-1 |
Cコード | C3036 |
ページ数 | 824 |
判型 | A5 |
製本 | 上製 |
第1章 「社会制御過程の社会学」の課題と方法
第Ⅰ部 単位的な社会制御過程
第2章 協働連関の二重の意味での両義性
第3章 沼津市における分別収集の導入ー経営システムにおける変革過程
第4章 名古屋市における新幹線公害問題ー支配性ステムにおける被支配問題の解決
第5章 沼津・三島・清水における石油コンビナート建設阻止
第6章 東京ゴミ戦争と「対抗的分業」
第7章 問題解決過程と問題解決の成否を左右する諸要因
第8章 社会制御システム論における規範理論の基本問題
第Ⅱ部 複合的な社会制御過程
第9章 制御システムの4水準と社会制御システムの特性
第10章 フランスの新幹線公害対策と公益調査制度ー支配システムの文脈で社会制御システムが事業システムに課す枠組み条件の効果
第11章 再生可能エネルギー普及政策の日独比較ー経営システムの文脈で社会制御システムが事業システムに課す枠組み条件の効果
第12章 鉄道政策における政府の失敗
第13章 初期熊本水俣病における行政組織の対処の失敗
第14章 原子力政策の問題点
第15章 環境制御システムの形成ー行政組織の再編成を事例として
第16章 複合的な社会制御過程における問題解決の可能性
第17章 社会制御の指針
第Ⅲ部 東日本大震災と社会制御過程の社会学(遺稿)
序論 災害型の環境破壊を防ぐ社会制御の探求ー東日本大震災は日本社会に対する自己批判的解明を要請している
第18章 持続可能性をめぐる制御不能性と制御可能性
第19章 原子力政策は何を判断基準とすべきかー政策転換に必要なパラダイム転換とは
第20章 震災問題対処のために必要な政策議題設定と日本社会における制御能力の欠陥
第21章 高レベル放射性廃棄物という難問への応答ー科学の自律性と公平性の確保
第22章 「生活環境の破壊」としての原発震災と地域再生のための「第3の道」
第23章 エネルギー戦略シフトと地域自然エネルギー基本条例