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中国の民営高等教育機関
――社会ニ−ズとの対応 -
近代化、市場経済化へと激送する中国社会は、今あらゆる領域において大変動を体験しつつある。本書は、こうした構造的変動の一環である高等教育の大衆化、多様化の要請のもとに誕生し、ドラスティックな拡大を続ける民営高等教育機関の全容――その登場の社会背景、システム分化の諸相、大学セクター、非大学部門それぞれの機能等――を総合的に分析・考察した初の研究であり、わが国の中国教育に対する従来の固定観念を一新する、関係者必読の労作と言えよう。
序章 研究課題・先行研究・分析枠組
第1章 民営高等教育の生成・拡大とそのメカニズム
第2章 学生の属性からみた需給の対応関係
第3章 学生の進学動機からみた需給の対応関係
第4章 機関類型別の教育環境・内容の特質
第5章 変わる労働市場の構造、変わる学生の就業意識
第6章 構造変容下の民営高等教育機関と労働のリンケージ
終章 結論と課題
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陶行知の芸術教育論
――生活教育と芸術との結合 -
貧困と圧制、そして戦火に苦しむ大衆の生々しい生活から創出され、再び生活に還元される、根底からの改革をもたらす芸術を……。陶行知の芸術教育とはあくまで、生活に密着した大衆教育の一環であった。デューイの民主主義教育思想と陽明学の「知行合一」の精神との結合を通じて、生活教育・民主教育の実践に邁進し、文化大革命時の教条的批判の後、いま蘇る巨人の全体像。中国人研究者による充実のモノグラフィー。
第1部 陶行知による民主主義的教育改革論
――デューイ教育思想の受容と変容の意味;デューイの民主主義教育論と中国教育問題;陶行知の民主主義教育論と彼の見た中国の現実情況;デューイ、陶行知の中国民主主義的教育思想の本質
第2部 陶行知の芸術教育論
――生活の中の芸術(「生活即教育」――陶行知の「教学做合一」における「做」の概念;偽知識の批判――陶行知の「真知識」論;陶行知における生活教育と芸術の結合;新教育一般における芸術の位置づけ――「美育」の発見;陶行知の生活教育における芸術;現代中国における陶行知の教育思想の応用)