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公共政策の社会学
――社会的現実との格闘 -
有効な政策科学としての社会学再興をめざす
高齢化の進行、新たな社会的格差の出現等の現実を前に、今や社会科学の「公共政策からの逃亡」は許されない。他分野研究者を交えた学際的執筆陣により、社会計画、NPMをはじめ従来の研究の批判的摂取の下、政策科学としての社会学の再興をめざす。
序章 公共政策と社会学
第1章 社会計画と社会指標
第2章 地域福祉計画と参加
第3章 社会サービスの割当――介護保険制度を事例とした割当過程の考察
第4章 権利・裁量・参加
第5章 介護サービスの分配の公正と政策評価
第6章 貧困の測定
第7章 ジェンダー・エンパワーメント
終章 政策評価と社会学
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グローバル化とアジア社会
――ポストコロニアルの地平 -
ポストコロニアルの地平を激走するアジアを、既成の知・西欧的パラダイムを超えて見つめ直し、都市と農村、経済発展と貧困、階層とコミュニティ等、グローバルとローカルが複雑に交差する位相を多角的に照射・分析する。
序章 グローバル化とローカル化
第1章 ポストコロニアリズムと現代日本
第2章 アジアの都市化の新局面
第3章 アジアの都市−農村関係の変貌――インドネシアを中心に
第4章 都市中間層の動向
第5章 ポスト開発と国民統合・民主化
第6章 アジア社会の都市グラスルーツ
第7章 マニラのスクオッター
終章 モダニティとアジア社会
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都市社会とリスク
――豊かな生活をもとめて -
阪神大震災のような破滅的惨害から、ゴミ問題のような日常的課題群まで、豊かさの追求がリスクを呼ぶ都市の諸相の分析を通じ、自滅か転換か、岐路に立つ現代文明を抉る。
はしがき
序章 都市と社会の論理――批判の営みとしての社会学と主体への問い(藤田弘夫)
第1章 経営文明と都市社会――大量生産型企業の論理(鈴木秀一)
第2章 都市生活の展開・変容とリスク――下層社会から中流社会への動きのなかで(中川清)
第3章 豊かな生活と消費生活(橋本和孝)
第4章 都市づくりと公共性(田中重好)
第5章 都市生活と生活環境変動――ローカルな空間制御システム・再考(堀川三郎)
第6章 豊かさの代償――環境問題(横田尚俊)
第7章 ホームレスと豊かな社会(麦倉哲)
第8章 災害と都市――二一世紀・「地学的平穏の時代の終焉」を迎えた都市生活の危機(大矢根淳)
終章 都市社会のリスクとその変容――直近の生活危機から恒常的な不安の沈潜化へ(浦野正樹)
事項索引
人名索引
執筆者紹介
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言説分析の可能性
――社会学的方法の迷宮から -
言説分析とは何か?社会学との関係は?その意義と方法をめぐって錯綜した論議が沸騰するなか、メディア論や知識社会学、計量分析、構築主義等との異同を解き明かし、社会科学の新たな武器としての可能性を追求する。
はしがき
序章 閾のありか――言説分析と「実証性」(佐藤俊樹)
第1章 言説分析とその困難(改訂版)――全体性/全域性の現在的位相をめぐって(遠藤知巳)
第2章 フーコーとマクルーハンの夢を遮断する――フリードリッヒ・キットラーの言説分析(北田暁大)
第3章 メディアが編む国家・世界そして男性――サッカーゲームの言説分析(坂本佳鶴恵)
第4章 空白の正義――「他者」をめぐる政治と倫理の不/可能性について(橋本摂子)
第5章 構築主義と言説分析(中河伸俊)
第6章 知識社会学と言説分析<(橋爪大三郎)
第7章 言説分析と実証主義(鈴木譲)
終章 言説分析と社会学(友枝敏雄)
事項索引
人名索引
執筆者紹介
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モダニティと空間の物語
――社会学のフロンティア -
啓蒙の知における均質・連続的な時空間を切断する、「拡がりのある時間」「生きられた空間」とは何か?単線的発展論への回収を阻むモダニティの「いま」を、「場」としての時空、現代居住区間、新たな都市空間論等、その両義的・重層的な動態を通じ多角的に論究する。
序章 モダニティの両義性と「時間―空間」の機制(吉原直樹)
第1章 生活時空間としての「場」――その歴史的変質(齋藤道子)
第2章 遠近法と調性の空間(和泉浩)
第3章 住まうことの場所論(足立崇)
第4章 空間から場所へ(大城直樹)
第5章 住まうことのメタファー(小野田泰明)
第6章 制度の失敗とローカル・ガヴァナンス――正当性欠損・有効性欠損・効率性欠損(植木豊)
第7章 (ジェントリフィケーション下の)都市への権利(酒井隆史)
終章 空間論の新しい方法基準――空間の政治(斉藤日出治)
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社会学のアリーナへ
――21世紀社会を読み解く -
今日におけるその立脚点と存在理由を追求
世紀の幕開け、変貌し続ける成果にあって社会科学が学として立つべき場所(=アリーナ)はどこか?ポストモダン論・グローバリゼーション論等、近代知の没落を告げる言説が交錯する中、社会学の固有性と今日における存在理由を追及する。
序章 モダニティの社会学理論――ギデンズを中心にして
第1章 社会学と社会システム論――システムとその「外」
第2章 社会学理論と社会病理――観察のモダンとポストモダン
第3章 近代社会学の成立――一九世紀フランス社会学の事例から
第4章 フィールドワークから社会学理論の形成へ――社会学の伝統再考
第5章 生活政治の社会学――支援社会を求めて
第6章 社会学と資本主義――生活構造論の革新
第7章 社会学から見たグローバル化・地域統合・国家――現代フランスの変貌を事例として
第8章 グローバリゼーションと人間の安全保障の興隆
終章 グローバリゼーションと社会学の未来
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クリティークとしての社会学
――現代を批判的に見る眼 -
自明とされている既成の知と変容し続ける現実を、徹底した批判(クリティーク)の眼で見つめ直し、現代のアクチュアリティに肉迫するシリーズ。第1巻は、現代社会におけるわれわれ自身の生き方と社会学の視点とを考える。
はしがき
序章 現代社会と批判的思考――批判の営みとしての社会学と主体への問い(西原和久)
第1章 歴史の中の自我――自己・他者・暴力(奥村隆)
第2章 ポストモダン社会と自己物語――家族療法の変容を通して(浅野智彦)
第3章 若者文化のゆくえ――「世代間ギャップ」は終焉したのか(小谷敏)
第4章 「長生き社会」という観点(宮原浩二郎)
第5章 危機の時代の社会批判――カルチュラル・スタディーズと民主主義の問い(渋谷望)
第6章 政治社会の今を問う(早川洋行)
第7章 情報社会の夢と現実――ITは社会を変えるか(張江洋直)
第8章 社会運動は社会を変えるか――「〈私たち〉の社会運動」の地平と可能性(山嵜哲哉)
終章 生活者の視線と社会学の問い――可能態としての現実とは(宇都宮京子)
事項索引
人名索引
執筆者一覧