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生命の淵
――バイオエシックスの歴史・哲学・課題 -
先端医療技術の出現が人類につき突けつつある難問――臓器移植、生殖技術、遺伝子治療・診断をはじめ、常に恩恵と危険を共に孕むこれら問題群に対し、われわれはどう答えるべきか。バイオエシックスの歴史と現状を俯瞰しつつ、技術の後追いに終始する生命倫理を超え、技術を内在的に検討・批判しうる新たな価値観の確立を求め、生命倫理学の再生をめざす。
第1部 バイオエシックスの歴史
(バイオエシックスの「歴史的回顧」医療倫理の歴史と概念/遺伝子研究の歴史と倫理)
第2部 バイオエシックスの哲学
(生命の技術化/バイオエシックスが「医学の哲学」を変えた/ヒトゲノムの全塩基配列決定は還元主義/バイオエシックスにおける相補性)
第3部 バイオエシックスの課題
(「生命倫理学」にとって「犯罪」への「荷担」は可能か/遺伝子診断とバイオエシックス/バイオエシックスの基本問題)
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動物実験の生命倫理
――個体倫理から分子倫理へ -
生命科学の核心が分子レベルに及び、生命進化への介入さえ志向する今、個体としての人間に関わる倫理を人間類似の動物に演繹した従来の個体倫理は無力だ――全生物がその基本構造を共有するゲノムOSの履歴と多様性尊重を基盤に、生命の恒常性と進化を共に保証する新倫理=分子倫理を提唱し、その立場から現代生命倫理の中核的問題群、遺伝子操作、クローン生物、電子生命体、脳死と臓器移植等に対し具体的提言を行うと共に、科学者と一般社会間等、異なる価値観の間の摩擦を最小化する問題緩和システムの構築を図る。
第1章 動物をめぐる問題
第2章 論点の科学・技術的背景
第3章 論点の思想的背景とその限界
第4章 問題の分析方法
第5章 分子倫理
第6章 動物実験の問題緩和システムの提案