- 改革進むオーストラリアの高齢者ケア
-
個別尊重を前提とした示唆に富むその全体像
施設ケアから在宅ケアへと、高齢者ケア改革の大きな流れの中、オーストラリアがこれまで築き上げてきた「福祉多元化」の実践は注目に値する。利用者の個別性尊重を実践原則に、公私バランスを得たサービス事業の多様性を生かし、制度の硬直性を排しつつその洗練度を上げる等、多様性と統一性との独自な調整の在り方は、介護保険の枠組みにとらわれ、問題化を招く同質性に陥りがちな日本の現状への大きな示唆となるだろう。初のオーストラリアの高齢者介護の全体像。
第1章 ソレントへ――Mrs.A、最後の日々
第2章 高齢者ケア改革の歩みと現状
第3章 アセスメントの実際
第4章 地域在宅サービス制度――HACC
第5章 包括的在宅ケアプログラム:COPとCACPそしてEACHへ
第6章 介護者支援の強化
第7章 強制的競争入札制度(CCT)の顛末
第8章 文化的多様性への対応
-
認知症家族介護を生きる
――新しい認知症ケア時代の臨床社会学 -
認知症とされる者への介護経験を中心に、家族介護者の経験の記述・分析を行いながら、その経験と近年の新しい認知症ケアとの関係や、認知症にまつわる現象を分析する社会学のあり方を考える。
序章 呆けゆく者と生きるということ
第1章 呆けゆく者への「はたらきかけ」の現在
第2章 呆け/呆けゆく者への社会学的まなざし
第3章 呆けゆく者への出会い
第4章 家族介護を生きることの分析に向けて
第5章 認知症家族介護を生きることとは?
第6章 介護者家族会は何を支援するのか?――他者定義への支援(1)
第7章 「人間性」の発見はいかにして可能か?――他者定義への支援(2)
終章 呆けゆく「人間」と生きていくこと――社会学の課題
補遺 フィールドワークの概要
- 保健・医療・福祉の研究・教育・実践
-
第1部 社会福祉の専門性と教育
(ヨーロッパにおけるソーシャルワーク教育の動向――ボローニャ・プロセスの影響に焦点を当てて;ソーシャルワークとスピリチュアリティ ほか)
第2部 支援・援助の展開と再検討
(「生活支援」概念の形成過程;介護実践における自立支援の再検討 ほか)
第3部 保健・医療・福祉の現状と課題
(新潟県における認知症高齢者グループホーム――現状と課題を中心に;サテライト型特養の現状と課題――施設と家庭の融合は可能か・学生の介護観構築のために ほか)
第4部 保健・医療・福祉研究の方法と理論
(健康・保健と社会制度;現物給付の給付機構にかんする一考察――医療保険を中心に ほか)